8月9日FOMC

8月FOMC

FRBが8月9日のFOMC後に発表した声明の要旨は次のとおり

  1. FOMCは現在、回復ペースは前回会合時点での予想よりも向こう数四半期にわたり幾分遅くなると予想しており、失業率はFOMCが2つの責務(雇用最大化と物価安定の促進のこと)に整合するとみなす水準に向かって緩慢に(gradually)しか低下しないと予測している。景気見通しに対する下方リスクは増大した。
  2. FOMCは、エネルギー・商品価格のこれまでの上昇による影響がさらに弱まるにつれ、インフレ率は向こう数四半期にわたり、FOMCの責務に整合的と見なされる水準、もしくはそれを下回る水準に落ち着くと予想している。
  3. FF金利誘導目標水準をゼロ─0.25%に据え置く。少なくとも2013年半ばまで、FF金利を異例に低水準とすることが正当化される可能性が高いと予想している。
  4. 保有証券の元本償還資金を再投資する既存の政策を維持する。
  5. 保有証券の規模と構成を定期的に見直し、適切に調整する用意を整えている。
  6. 価格安定の文脈の中での一段と強い景気回復を促進するために利用可能な政策手段について協議した。FOMCは今後入ってくる情報に照らし合わせて経済見通しを継続的に評価し、必要に応じてこれらの政策手段を実施する用意がある。

 今回の決定に賛成票を投じたのは、バーナンキ委員長、ダドリー副委員長、イエレン等の9委員。反対票を投じたのは、フィッシャー等の3委員。3委員は、経済状況に関して、長期間にわたりFF金利を異例に低水準とすることが正当化される可能性が高いとの表現を維持することを主張した。

時間軸の強化

 今回の声明では、追加緩和には踏み切らなかったが、「少なくとも2013年半ばまでFF金利を異例に低水準とすることが正当化される可能性が高い」として、実質ゼロ金利政策が13年半ばまで継続させることを示唆。各紙は「時間軸を強化」と論評。ただ、インフレ上昇率何%になるまでは、といったインフレターゲット的な時間軸ではなく、13年半ばまでと具体的な期限を設定したことが特徴的だ。

QE3はいつ

 今回の声明を、近い将来QE3を打ち出す可能性を示唆したものと見るアナリストも少なくない。というのも。

  1. 「景気見通しに対する下方リスクは増大した」との表現
  2. 保有証券の規模と構成を定期的に見直し、適切に調整する用意を整えている。」とあり、規模を拡大する趣旨も読み取れる。
  3. 今回3人の反対を押し切って決定したことも、バーナンキ(さらには、ダドリー、イエレンを含めたTOP3)が、さらなる金融緩和を多数決で推し進める素地を作った。
  4. 「価格安定の文脈の中での一段と強い景気回復を促進するために利用可能な政策手段について協議した。」とあるのは、QE3も俎上に上ったのではとの推測も成り立つ

 気の早いところでは、9月のFOMCで、QE3を決定するのではないかとか、インフレターゲットを導入するのでは、との声がある。