米債務上限引き上げ問題混迷

 米政府の累積債務の法定上限14・3兆ドルの引き上げをめぐる与野党協議の先が見えない。8月2日までに協議がまとまらないと、最悪の場合、米国債がデフォルトに陥る可能性もあり、少なくとも米国債の格付けも低下は避けられない。
 22日にはオバマ大統領と共和党のベイナー下院議長が3兆ドルの財政赤字削減策について水面下で協議したが決裂。オバマが「なぜベイナーが財政赤字削減の協議を放棄したのか理解できない」と言えば、ベイナー議長も「大統領は最初から増税ありきの姿勢で話し合いにならない」とオバマ大統領を批判。両者の溝の深さを改めて思い知らされた。

 債務上限を引き上げるには、中長期的な財政赤字削減策を明らかにする必要がある。政府は増税は不可避とするが、共和党は強く反発している。とりわけ強硬なのは、昨年の米議会中間選挙で当選した、ティーパーティー系の共和党新人議員だ。総勢87人の1年生議員が「断固増税反対」の姿勢を崩していない。共和党議会幹部は、デフォルトを避けるため、大統領との妥協も仕方ないと考えているが、ティーパーティー系議員は違う。米財政支出は無駄遣いの塊と考えており、デフォルトになることくらい、お灸をすえる程度に考えているふしがある。