ギリシャ支援とストレステスト

 EBAは、7月15日、EU域内の主要90行(EUの銀行資産の6割以上をカバー)を対象としたストレステストの詳細を発表。資本不足と認定した8行にリストラや資本増強を促し、必要なら各国が資本注入する。8行の資本不足額は25億ユーロだった。僅差で基準に達した16行にも予防的な資本増強を推奨した。景気悪化シナリオでも普通株内部留保によって構成される中核的自己資本比率5%維持が合格基準だった。
 昨年末の段階では、合格ラインを下回る銀行が20行有り、資本不足額は268億ユーロであった。1月から4月の間、欧州の銀行は全体で500億ユーロ資本増強しており、その成果が表れた形だ。 
 ウォールストリートジャーナル(WSJ)の分析によると次の通り。21日合意された第2次金融支援では、ギリシャ国債は対額面で10〜21%の損失が発生すると予想されているが、アナリストが予想していた50%以上のヘアカットと比較すると、軽微な損失だ。それでも90行で合計70〜140億ユーロの損失が発生する可能性がある。しかし、今回のストレステストではこの点は配慮されていない。
 さらに個別に見て行くと、ギリシャ国内の大手6銀行が保有する10年以内償還のギリシャ国債は合計430億ユーロ。今回の債務再編で90億ユーロ以上の損失が発生する可能性がある。今回の債務編成による損失は、フランスの銀行でも最大14億ユーロ、ドイツの銀行でも8億4300万ユーロに上るとみられる。
 さらに問題なのは、ギリシャ財政赤字が急には解消される見込みがないことだ。今後さらどれだけのヘアカットがあるかも分からず、10年以上先に償還される国債についても債務返済が及ぶ可能性もある。