CDS保証料率 日本、中国に抜かれる

CDSとは

 CDSというものがある。クレジット・デフォルト・スワップの略称だ。WIKIPEDIAでは次のように定義されている。
 具体的には、(筆者注:債券の)プロテクション(筆者注:保証)の買い手は、仮想元本額に対する一定の割合の金額を定期的に支払い、一方、プロテクションの売り手は、参照組織についての倒産その他の信用リスクの顕在化を示す一定の事由(「信用事由」)が発生した場合に、一定の方法で特定された参照組織に対する債権(「参照債務」。貸付債権や公社債など。)について、予め合意したところに従って、買い手から参照債務を元本額で購入する(「現物決済」)か、参照債務の価値の下がった部分を補う金額を買い手に支払う(「現金決済」)か、いずれかの方法によって決済を行う。

要は丁半賭博

 社債とか国債がデフォルトに陥った時(クレジット・イベント)に備えた保証料を、やり取りする金融商品である。デフォルトになれば、この保証=プロテクションの買手が、売り手に損失相当額を支払って決済する。要は丁半賭博と変わらない。

各国国債CDS

 国債を対象としたCDSでいうと、信用力のない国ほど保証料率は高くなる。
 7月16日付日経によると、6月末時点で、CDS保証率が低い1位がドイツの0.41%、2位が米国の0.49%。基軸通貨ドルを発行する双子の赤字の米が、双子の黒字のドイツに王座を明け渡した形だ。サウジが0.952%で5位から10位に転落。0.91%の日本は、0.84%の中国に遅れて8位。韓国は1.02%で10位と変わらなかった。
 以下、各国の10年物国債の6月末の保証率を示す。()内は前年の順位(11.7.16日経)

  1. (3) ドイツ    0.41
  2. (1)米国     0.49
  3. (2) カナダ    0.49
  4. (4) 豪      0.58
  5. (6) 英      0.61
  6. (7) 仏      0.60
  7. (8) 中国     0.84
  8. (9) 日本     0.91
  9. (5) サウジ    0.95
  10. (10)韓国     1.02
  11. (11)メキシコ   1.07
  12. (12)ブラジル   1.10
  13. (13)南ア     1.24
  14. (15)インドネシア 1.40
  15. (17)ロシア    1.41
  16. (14)伊      1.72
  17. (16)トルコ    1.74
  18. (18)アルゼンチン 5.86

 保証料率の危険ラインは5%。イタリアは1.72%と、まだ大丈夫のようではあるが、、

ギリシャ国債債務再編とCDS

 現在、ギリシャ国債の債務再編をめぐってCDSと格付けとの間でねじれを生じている。S&Pは、債務再編があれば「選択的デフォルトとみなす可能性が高い」とするが、CDSにおけるクレジットイベントには該当しないと考えられているからだ。となると、デフォルトになっても、CDSによってリスクを回避できないことになって、CDSの持つ意義が失われる。そのためギリシャ国債CDSの投げ売りが起こりかねない(11.7.13付日経「ウォール街ラウンドアップ」)