米連邦債務上限問題 解決の見通しつくにはついたが

 オバマ米大統領が7月19日、米国のデフォルト回避に向けて超党派上院議員グループが協議している新たな財政赤字削減案に対して支持を表明した。
 米連邦債務上限の引き上げ問題に一応の見通しがつくことにはついたが、与野党間の調整能力の欠如が大きくクローズアップされることになった。来年の大統領選挙を控え、共和党増税阻止を訴え、オバマは富裕層への減税措置廃止を訴えるという構図は理解できるが、どっちが先にブレーキを踏むかというチキンゲームと化している。この政治の混乱に対して、米国債の格付けの引下げを危惧する声が強くなる中、双方が気勢を上げる様子に、市場は辟易している。
 「債務上限引き上げ問題」ごときで政治決着できないのであれば、財政赤字の削減への道筋をどう描くかというより大きな問題を、米政府は解決できるのであろうかという疑問がどうしても起きてしまう。
 ロイターの7月20日記事によると、ムーディーズのアナリストがインタビューに対し「超党派の米上院議員グループが発表した財政赤字削減案は削減幅が不十分」「同案によって米連邦債務の上限が引き上げられ、デフォルトが回避されたとしても、米国の格付け見通しを「ネガティブ」とする可能性がある」との見解を示した。
 既に、ムーディーズは13日付で米国の格付け見通しを引き下げ、S&Pも14日付で「今後90日以内に引き下げる確率が50%ある」と警告を発している。