トヨタ 来年1月から電子手形導入

巨人トヨタ 電子手形導入に踏み切る

 7月17日付日経記事によると、トヨタ自動車は、来年1月から電子手形取引を導入、8月にも取引先向けに説明会を開き、取引の電子化を要請する、という。
 トヨタに続き、ダイハツ工業デンソーなどグループ企業も電子手形発行に踏み切る公算が大きい。中核16社の取引先は約2万6000社ある。トヨタの導入により、日本の電子手形市場は一気に拡大する。

電子手形とは

 電子手形と言われているが、正式には電子記録債権という。これは、08年12月に施行された電子記録債権法に基づき、電子債権記録機関の記録原簿へ発生・譲渡等の記録を行うことを要件とする新しい金銭債権だ。

電子手形は中小企業の資金繰りの味方

 この電子手形、中小企業の資金繰りに大いに役立つ存在である。このことを、一から説明しよう。例えば、小企業Sが大手企業Bに商品を納めたとする。Bとの約束で、売掛金は毎月末日締めの3カ月後の末日払いだとする。もし、7月15日にSが商品を納めれば、10月末日の支払となる。この場合Bが、10月末日払いの約束手形を発行するかというと、そういうことはあまりしない。手形は、管理に手間がかかり、紛失、盗難となった場合の処理が面倒なためだ。このため、実業界では手形は次第に利用されなくなってきている。Sとしては手形で払ってもらった方が有りがたい。手形だと銀行に持ち込めばすぐに手数料を差し引いた上で現金化してくれるからだ。これを手形割引という。しかし手形が発行されないとこういった資金繰りができないのだ。
 もし電子手形であれば、企業も利用しやすいため、電子手形を発行することが多くなり、その取引先としては資金繰りが多いにしやすくなる。
 さらにもう一つ、手形に比べて大きなメリットがある。例えば100万円の手形を受け取ったとする。この手形の割引を銀行に頼む場合、100万円全額を割り引いてもらう必要がある。譲渡する場合も同様100万円の手形を50万円の手形2枚に分けて譲渡するなんてことはできない。しかし電子手形の場合は、1000円以上1円単位で分割して銀行で割引いてもらったり、他に譲渡したりもできる。

電子債権記録機関

 電子債権記録機関としては、三菱東京UFJ銀行系の日本電子債権機構(JEMCO)、三井住友銀行系のSMBC電子債権記録、みずほ系のみずほ電子債権記録がある。トヨタの導入に合せ、三菱東京UFJ銀が電子手形を担保にした資産担保コマーシャルペーパーABCP)を組成し、低金利で資金供給する動きも出ている。