21日欧州首脳会談の行方

 7月21日開催の欧州首脳会談での議題は当然ギリシャ問題が中心となる。ギリシャは1100億ユーロのギリシャ支援第1枠を9月にも使いきるため、支援第2枠についての欧州各国の合意が早急に必要だ。追加支援額は1000億ユーロ程度とも予測されている。
 しかし、相変わらず独仏の歩調が一致しない。19日メルケル独首相は、ユーロ圏首脳会議について、ギリシャ債務危機の解決に至る最後の1歩とはならないとの見方を示し、21日の解決策合意への期待に水を差した。これに対し、バロワン仏経済・財政・産業相は20日、ユーロ圏首脳会議では、ギリシャの債務負担軽減に向けた「力強いメッセージ」を出す必要があると述べ、火消しに必死だ。20日には、サルコジメルケルが会談、ギリシャ支援について最後の意見調整を行う。
 独は、以前からギリシャ国債のヘアカット(減免)が不可欠と主張。これに対して、自国銀行がギリシャ国債の多く抱える仏は、ヘアカットには断固反対。ギリシャ国債を多く保有するECBもヘアカットには断固反対の立場だ。
 他にも、争点はある。IMFはユーロ圏首脳に対し、4400億ユーロの欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の迅速な拡充と、流通市場での債券買い入れ容認を求めているが、独はこれに否定的。
 さらに選択的デフォルトあるいはデフォルトとされる可能性のある民間セクターの関与、対ギリシャ支援の資金捻出のための銀行課税も検討対象とされている。
 仏提案は、14年に償還期限を迎えるギリシャ国債の7割を30年物新国債に切り替え、2割をギリシャ政府が欧州のトリプルA格の証券に再投資しデフォルトに対する保険とする、というもの。新国債金利を8%とする案、6%とする案が検討されている。ドイツはこれに反対しているが、議論は仏案を中心に進められていると言う。
 19日の欧州市場では、10年物スペイン国債利回りが取引終了後の時間外取引で6.12%に低下したが、前日は6.3%を超え、ユーロ導入以来の最高水準をつけていた。10年物イタリア国債利回りもこの日は5.76%まで低下したが、6月11日には6%を超えていた。市場の関心は既に、ギリシャアイルランドポルトガルを超え、イタリア、スペインという周辺国に移っている