米雇用統計の悪化

米雇用統計予想を下回る

 米労働省が6月3日発表した5月の雇用統計によると、非農業部門の雇用者数は前月比5万4000人増加と、市場予測の平均値17万人増を大幅に下回った。5月の失業率は、市場予測の平均値9%を上回る
9.1%に上昇、約1390万人が求職中。
 細かく見ると製造業は5000人、小売業は8500人、娯楽接客業は6000人の減少。企業向けサービス、教育・医療は増加だったという

小売売上高に見る特徴

 5月の米小売各社の売上高増減率を見ると、高級百貨店のサックス・フィフス・アベニューが20.2%、ニーマン・マーカスが12%の増加、大衆向け衣料のGAPは4%の減少。ディスカウントストア各社は売り上げ増、会員制量販店のコストコは13%も売上を伸ばした。(11.6.3日経夕刊)
 要するに、高所得層は消費を活発化させているが、中間層は消費が落ち込み安売り店を利用することで家計を節約させている。

ドルのばら撒きの効果

 高所得層の消費増は、米政府、米FRBがドルをドンドンばら撒いて、株価が上がっているからだ。FRBのQE2(金融緩和第2弾)も、長期金利を下げようというよりは株価上昇を目指したものといわれる。しかし、この金融緩和は国際商品価格の高騰、特に原油の高騰を招き、物価を押し上げている。
 この結果、株価は上がり高所得層は消費を増やしたが、中間層は消費を落としている
 しかし、さすがにこの雇用統計の悪化に嫌気し株価は大きく下がった。