送電分離には大賛成

送電分離とは

 最近送電分離が大きな話題となっている。送電分離とは、発電する会社と、送電する会社を別にしようという話。今の日本は、電力会社が発電も送電も両方行っている。送電分離となれば、電力会社は発電だけを行い、送電は別会社が行うことになる。
 欧米では、90年代から送電分離が進み、それがきっかけとなり、太陽光、太陽熱、風力といった自然エネルギーによる発電が盛んになり、電気料抑制にも効果を発しているという。良いことばかりなのだが、日本では電力会社が、自分たちの独占体制が侵されるため大反対している。そして東電と呼応して、これと癒着した経産省、電力会社から企業献金を貰っている政治家、同労組から支援を受けている民主党、電力会社から多大な広告料を貰っているマスコミも送電分離論に正面から取り組まず、腰砕けになっている。

送電分離が必要な理由その1

 送電分離は福島原発事故による損害賠償とも絡んでいる。現在の東電の毎年の収益は1000億円程度。となると兆円単位の賠償金を払える訳がない。そういった訳で、民主党自民党も、電力の安定的確保のためには東電を存続させる必要があるとして、東電を解体して銭を吐き出させようという発想をしようとしない。
 ひどいのは、東電が金を払えないなら電気料を値上げしようとまで言い出していることだ。結局東電の不始末を国民がケツを拭きましょうということになる。
 しかし、そうする以前に送電分離というアイデアもある。東電が持っている送電網を売却し、これを賠償金に充てるということだ。

送電分離が必要な理由その2

 送電分離が自然エネルギーによる発電を促進することになる。これについては最近ソフトバンクの孫さんが、10億円を出して自然エネルギー財団を設立、自然エネルギーの拡大を主張しているが、現在の電力会社による送電独占が障害となっているとしている。孫さんの発現の趣旨を以下引用する。
 2011年をエネルギー政策転換の年と位置付け、個人としての寄付10億円で自然エネルギー財団を設立いたします。10億で足りないことはわかっていますが、これはスタートの原資として、世界100名のトップ科学者との意見交換の場を作る。議論のきっかけを作るための財団。シンクタンクのようなもの。自然エネルギー発電にはいろいろある。どれがいいのかはこれから勉強して行く。太陽光発電だが、電気使用のピークは日中。電力の消費量が最も多いときに太陽は出ている。そこに当ててはどうか? 太陽光発電を否定する意見の多くは、曇りや雨のとき、発電出来ないというもの。しかし、天気の悪いときには、火力発電を使えばいい。バッファとして考えている。
 他国では太陽光発電がどんどん伸びている。なぜか。それは電力会社が作った電気を買い取るから。政府の方針で、電力会社に買取の義務を負わせた。作った電気を全て買い取る、全量買取制度の制定が今何より優先されなければいけない。
 奇しくも、震災のあった3月11日の午前中、全量買取制度が閣議を通過した。一日も早く、これを国会で通してもらいたい。電力会社は買い取りたくないという姿勢で今まで来たが、電気が足りなくて計画停電を行う今、まさか電気がいらないとは言えないだろう。
 風力発電も世界では伸びている。日本ではまったく伸びない。これも、電力の買い取り価格を低く設定し、採算が合わないようにしている電力会社の思惑のせいだ。北海道や東北、九州の潜在的発電能力は、日本全国の電力需要を満たすほどの量がある。
 世界の地熱発電設備の75%は日本製。なのに日本で地熱発電が進まないのも、電力会社の買い取り価格が不当に安いため。地熱資源地の82%は国立・国定公園内にあり、自然公園法で開発を制限している。国がその気になれば、開発はすぐに始められる。
自然エネルギー財団では、日本の風土に一番合った発電方法を精査し、提言して行く。
 電力会社が買い取り価格を上げることによって、各家庭の電気代は一時的に500円ほど高くなる。しかし、化石燃料の高騰、原発コストの上昇は続く。自然エネルギー発電が普及すれば、量産効果でコストは下がり始める。先のことを考えれば、電気代は安くなる。安心安全も手に入る。
 40円/Kwhでの電力の買取を20年間の全量買取。この1行の法案で、日本の電力は解決する。2011年エネルギー政策転換の年、批判に終わらない、建設的な議論をしましょう。