米軍がビンラディン殺害

米軍がビンラディン殺害

 オバマ大統領は5月1日夜、同時多発テロを首謀したアルカイダの指導者ウサマ・ビンラディンを米東部時間の1日に殺害したと発表した。
 米軍はパキスタンの首都イスラマバードから約100キロ北部にある邸宅でビンラディン容疑者を殺害したという。家族も一緒だったとされる。パキスタン高官が明らかにしたところでは、ビンラディン容疑者が死亡した現場には同国情報機関の統合情報部(ISI)もいたという。作戦は米海軍特殊部隊SEALSが実行し、約40分間の銃撃戦の結果、ビンラディンは頭を撃たれて死亡したという。(CNN2011.05.02  //www.cnn.co.jp/world/30002630.html)
 ロイター通信によると、米当局者は同容疑者の息子らも殺害されたとみられる。

度々あったビンラディン生存情報

 ビンラディン生存情報は、度々報道されていた。昨年もビンラディンパキスタン北西部(ここは連邦直轄部族地域=FATAと呼ばれる部族の長が納めている治外法権地域)に住んでいるとの情報があった。住環境は比較的快適で、彼はアルカイダ№2のザワヒリとともに、ISIと地元住民に保護されているということで、多くのテロリストたちを、地元住民とISIは温かく迎えているとのニュースだった。
 今回、発見された隠れ家は首都イスラマバードから北へ60キロの地点で、軍の基地から至近の距離にあったという。回りの塀の高さは高いところで5mを超え、塀の上には鉄条網、屋上には2mの塀と、異様な建物で軍関係者も当然、その家に誰が住んでいるか知っていた筈だ。実際、襲撃された現場にISIの人間がいたということで、「やっぱり」という声が聞こえて来そうだ。

ビンラディン死亡の影響

 ビンラディンの死亡、即アルカイダの弱体化ということにはならないだろう。ビンラディンは健康状態がすぐれず、しばらく前から、ナンバー2のザワヒリアルカイダを指揮しているといわれている。
 またアルカイダは、軍隊的な上下組織ではなく、各地域のテロリストが作る緩やかなネットワークと言われる。中にはアルカイダとは名乗っているが、象徴的な意味で名乗っているだけで、アルカイダ中枢とは何ら関わりを持っていない組織もある。アルカイダ本家は既に活動範囲を狭められており、むしろアルカイダに影響を受けた新たな分家が世界各地に現れ、それぞれ活動していると言った感が強い。まぁたとえてみれば家系ラーメンのようなもので、ビンラディンが死んでも死ななくても、影響はないだろう。ビンラディンは米軍に殺されたことで、殉教者として、名を残すことになる。
 ただひとつ言えるのは、今回のビンラディン射殺は再選を目指すオバマにとっては大きな追い風になるということだ。

最初から射殺が目的

 オバマは、一応「降伏すれば命は助けた」と言っているが、信用できない。ビンラディンが武器を所持していなかったことは米政府も認めており、身柄を確保することは十分可能だったはずだからである。最初からビンラディンを生きて捕らえることは考えていなかったはずだ。考えてみれば当然だろう。もし生きて捕らえて裁判にかけるとなれば、米国人が人質に捕らえられ、ビンラディンの釈放交渉に使われるからだ。(11.5.5追加、11.5.6訂正)