公的資金注入12兆円 99%戻る

公的注入額の回収

 政府は98年から03年にかけて、預金保険法、早期健全化法、金融再生法等を通じて、銀行に公的資金を注入した。銀行向けの公的資金には、金融機関の自己資本不足を伴う資本増強策、不良債権などの買取策、破たん金融機関の預金者保護のための金銭贈与がある。資本増強は預金保険機構優先株を取得し、後に機構が普通株に転換して市場で売却したり、被注入銀行が買い入れ消却したりする。銀行注入した12兆円のうち、3月末までに99%が戻ってきたという。またりそな銀行は、10年度に1兆3000億円の公的資金を返済。りそなは940億円を上乗せ(11.4.30付日経朝刊)

銀行が履かせてもらった下駄

 99%という高い比率ではあるが、銀行に「よく頑張った」と褒める気には到底なれない。銀行はゼロ金利でたっぷり儲けさせてもらったのだから、当然だ。ゼロ金利政策下、銀行はただ同然の費用で預金を集めることができた。ただ同然で原料を仕入れて、製品を作って売るのと同じなのだからいい商売だった。しかし、そうして仕入れたお金を、金融検査マニュアルをたてに、中小企業には回さず、国債等を買って安易な金儲けに走っていたのだから、社会の公器としての役割も十分に果たしていなかった。
 他方、高齢者は利息がつかないため、預金を目減りさせられた。