日本政策金融公庫から国際協力銀行が独立

国際協力銀行が日本政策金融公庫から独立

 4月28日、日本政策金融公庫の一部門であった国際協力銀行を分離独立させる国際協力銀行法案が可決された。旧来は、同行は日本企業の新興国向け輸出、輸入、投資案件について融資する役割をもっていたが、先進国向けインフラ輸出にも活用することが期待されている。

日本政策金融公庫と国際協力銀行

 日本政策金融公庫は、政府が株式の100%を保有する株式会社。08年10月1日、国民生活金融公庫農林漁業金融公庫中小企業金融公庫国際協力銀行(JBIC)という政府系金融4機関が合体する形で設立された。
 日本政策金融公庫の中でも、国際協力銀行も入っているが、ほかの3機関に比べて、異質であり、違和感を感じる。国際協力銀行も加わった理由は財政上の理由が大きいのではと思われる。
 統合前の実績で言うと、旧4機関の中で一番規模が大きい国民生活金融公庫は1515億円の負債超過となっている。農林漁業金融公庫は2936億円の資産超過、中小企業金融公庫は1969億円の資産超過だが、いずれも資本金は割っている。唯一資本金を確保しているのは国際協力銀行。9兆7902億円の資産超過だ。
 要するに国金、農金、中金の3事業体だけでは赤字になってしまうので、黒字の国際協力銀行をくっつけたのではとも思われる。しかし国際協力銀行が分離独立し、残り3事業体だけ取り残されるとなると、日本政策金融公庫の財政事情は果たしていかなることになるのか。

国際協力銀行の今後

 インフラ輸出競争が先進各国間で激化している。新興国経済の伸長にインフラが追い付いておらず、大きなビジネスチャンスが存在する。また先進国でも、温暖化対策で、高速度鉄道原発開発が進んでおり(原発は今先行き不透明ではあるが)、ここにもビジネスチャンスが存在する。しかし、日本企業は、資金調達で政府から十分な援助を得られないため、設計・建設から維持・管理までのパッケージとしてのインフラ支出ができず、個別の機器や設備の納入程度にとどまっている。個々の開発案件でも部品の納品では大きな利益は得られないし、インフラ輸出は将来の運営管理までパッケージ化することで安定的な収入を得られるのであるから、日本のインフラ輸出は立ち遅れた著しかった。
 政府が戦略的方向性を明示。その上で公的金融機関と政府の政策的連携を両輪にインフラ輸出を強化しようというのである。新生JBICについては、出資機能を強化するとともに、政府がJBIC出資案件のリスクを負う新たな勘定を創設。JBICが「国家ファンド」として、事業が長期にわたるなどハイリスクの案件にも投融資できるようにするという。