ホンダジェット 12年から量産開始

ホンダジェット量産化

 ホンダは小型のビジネスジェット機「ホンダジェット」を2012年初めから量産し、同年後半に納入を始めるという。製造はホンダ本社ではなく、その航空機事業子会社「ホンダエアクラフトカンパニー」(米ノースカロライナ州)が行う。現在、100機を超える受注があり、当面は年間80〜100機の生産を行う予定だという。
 ホンダジェットは09年12月20日、米国で量産型機の50分間の初飛行に成功。今後、5機のテスト機で、試験を実施。12年の米連邦航空局、欧州航空安全局の型式認定取得を目指し、機体引き渡しは12年後半を予定している。価格は約4億円。
 ホンダジェットの雄姿を見たい方は以下にアクセスされたい。
  http://www.honda.co.jp/jet/sky/

自動車メーカーとして初の快挙

 ホンダは、地上や上空での4000時間に及ぶテストの結果、航空エンジンHF118を独自開発。ホンダはGEと合弁でGE Honda エアロ・エンジンズ社を設立し、HF118を下敷きにHF120を開発した。ホンダジェットはこのHF120を搭載している。
 BMW、サーブ、富士重工など、航空機メーカーから自動車メーカーに発展した会社はこれまでにもあったが、自動車メーカーから航空機メーカーになったのはホンダが世界で初めてだ。

MU300の前例を乗り越えられるか

 ホンダジェットの将来を占う上で参考となるのが三菱重工製のビジネスジェット機MU300である。三菱重工が失敗を危惧し慎重に慎重を重ねた結果、最悪の時期での量産化となり、結果製造権を米社に売却。その後に米空軍が採用したことで、信用がつき、販売に弾みがついて米社がもうかったという、三菱重工にとっては、悲しいというか情けない結果となった。
 同機は、76年開発に着手、77年8月初飛行、2年間の性能試験を経て、79年8月には連邦航空局の耐空審査を得たまではよかったが、その後大きくつまづく。79年DC−10が墜落事故を起こし、連邦航空局は審査基準を大幅に厳格化したのだ。MU300は、この厳格化された新基準の試験対象第1号となり、審査が遅れに遅れ、81年にようやく形式証明がとれた。しかし、当時の米国は第2次石油ショックの直後で、景気低迷期にあり、ビジネスジェット需要が大きく落ち込んだ時期であった。また、納品が遅れることに備えた契約をしていなかったため、相次ぐキャンセルで損失が拡大した。
 2011年は米FRBのQE2(量的緩和第2弾)の影響もあって、好景気が予測される。ただ、新興国ではインフレ懸念から利上げが予測され、欧州もソブリンリスクを抱え、2012年は心もとない。MU300と同じ轍を踏まないか、心配ではある。