金融庁方針 連帯保証 経営者に限定

金融庁の新監督指針

 金融庁は「監督指針を2010年度中に改正」し、「原則として連帯保証の対象を経営者本人に限定する方針」だという(日経H23.1.6)。
 金融庁は発足以来、「ルールに基づく透明かつ公正な金融行政」を目指しており、金融機関への監督方針についても、ルールを透明化するため様々なガイドラインを作成している。その一つに「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」(平成16年5月策定)がある。おそらくこれの改正作業のことと思われる。
 通常銀行は代表者を連帯保証人にするが、中には心理的な効果を狙って経営に参加していない第三者(多くは家族)を連帝保証人にすることがある。そうなると、会社が破たんした場合、代表取締役だけではなく、他の家族の生活まで破綻してしまうため、今回の改正にこの点が含められることになったのだろう。

三者の範囲

 ただ、第三者の範囲が問題だ。今は会社法が改正され株式会社の場合でも取締役を一人だけにすることができるようになったが、かつては取締役が3人いなければならなかった。というのも株式会社においては取締役会の設置が必須であり、「会」と言う以上、取締役が複数いなければならず、2人では賛否同数となった場合身動きが取れなくなるため、最低3人以上取締役が必要だったのである。
 現在の会社法は、どういう役員構成にするかといった会社の制度設計がかなり自由になったから、取締役が一人いるだけの株式会社も可能となったのである。
 ただ、旧法時代のまま、惰性で取締役を3人置いている会社も随分多い。このため、実態は社長の個人会社なのに、3人取締役が必要だと言うので、関係ない息子やら妻、または従業員が取締役をやらされたりすることがある。こうした名目取締役も経営に参加しているということで、今回の監督対象から外れるとすると、実効性にかけることになる。

日本政策金融公庫

 日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)は、最近新制度で第三者保証人をつけないで良い制度ができたが(要件有り、0.65%の利息の上積み有り)、以前はそういう制度がなかったために、「叔父に保証人になってもらっているので破産もできない」というような人が多かった。今回の改正となる監督指針では、公庫は対象外となるが、公庫のこうした体質も改めてほしいものである。