米自動車安全法案の衝撃

制裁金1兆3000億円を取られかねなかったトヨタ

 トヨタのケースは、リコール対応が遅れたとして、米政府に対し制裁金1640万ドル(15億円)を支払うだけで済んだ。泰山鳴動して、という感じだが、これは現行法では、リコール対応が遅れたメーカーが支払う民事制裁金の上限額が1640万ドルと決められているからだ。もし、この上限がなかったら、トヨタの今回のケースでは、制裁金が138億ドル(約1兆3000億円)に達する可能性があった。

制裁金の上限撤廃の動き

 米議会で、自動車の安全を強化するための法案審議が始まった。法案の要点は以下の通り。

  1. ブレーキとアクセルを同時に踏んだ場合にブレーキを優先する装備の義務化
  2. 事故を起こした時のブレーキ、アクセルなどの動作情報を記録するイベント・データ・レコーダー(EDR)の搭載も義務化
  3. リコール対応が遅れたメーカーに科す制裁金の上限の撤廃

 この最後の制裁金の上限撤廃に対する反対の声が、自動車業界から起きている。