北朝鮮の砲撃事件と尖閣諸島とのつながり
停戦協定違反の問題は
北朝鮮の韓国延坪島への砲撃事件は、言語道断。無法者国家の面目躍如と言ったところだ。韓国軍の発表によると、北朝鮮は計約170発を撃ち、90発は海上に、80発は同島に着弾したという。朝鮮戦争は終結しておらず、現在は停戦協定により停戦している状態だ。停戦協定違反にならないかという点からも動きがありそうだ。
というのもハーグ陸戦条約に次の規定があるからだ。
第40条 当事者の一方的な休戦規約の重大な違反が合った場合、他方は規約廃棄の権利を有するのみならず、緊急の場合においては即時に戦闘を開始することも許される。
第41条 個人が自己の意志をもって休戦条約に違反した時は、その違反者の処罰の要求と行為による損害が存在した場合はその賠償の請求する権利のみが生ずる。
米を主体とした国連軍は即時に軍事行動をとれるし、軍の一部の跳ね上がりだとしたら、その責任者、実行者の処罰を請求できることになる。北朝鮮の加入の有無を問わず、慣習国際法と言えるのではないか。
背後の理由
この時期に「なぜまた?」と言うことだが、以下の可能性が考えられる。
- ウラン濃縮施設を見せて脅したのに、米国が協議再開に応じないので、もっとデカイことをやって、協議再開につなげようと思った。
- 金正日が核放棄に応じるのではないか、と不安になった軍が砲撃を強行。核放棄などしないように、圧力をかけた。
- 金正恩体制移行に反対するグループが、嫌がらせでやった。
- 金正恩が「やる時はやる男だぞ」「ここまで軍を動かせる男だぞ」ということを見せるためにやった。
- 金正恩新体制を強固なものにするため、軍に恩を売った。
- 金正恩新体制を強固なものにするため、わざと緊張を生み出し、挙国一致体制を敷き、反対勢力の動きを封じた。
- 金正日が秘書に「タイプを打て」と秘書に言ったら、秘書が「大砲を撃て」に間き違えてしまった。
この辺りは追い追い明らかになるかもしれないし、ならないかもしれない。まぁ何でもありの国なので、考えるのも無駄なのかもしれない。
北朝鮮は自衛措置と主張
朝鮮人民軍は砲撃の4時間後「黄海には唯一我々が設定した海上軍事境界線だけが存在する」と発表。北朝鮮政府は23日夜「韓国軍の演習に対する、断固たる軍事的措置を講じた」と発表した。朝鮮中央テレビは午後8時すぎ、「今後も韓国が北朝鮮の領海を侵犯するなら、われわれは、ちゅうちょなく無慈悲な軍事的打撃を加える」と報じた。北の女性アナウンサーは深刻な表情で「わが共和国の領土を0.001ミリメートルでも侵した者は、、」などと言っているので、これには吹いてしまったが。
韓国と北朝鮮の境界線はNLL(Northern Limit Line)と呼ばれている。北朝鮮は、陸上部分の38度線を軍事境界線とすることは認めていても、海上のNLLは認めていない。朝鮮戦争で、両軍は陸上選では互角だったが、海では国連軍(実態は米軍)が圧倒的優位を有していたため、海上では38度線以北を超えて軍事境界線を一方的に設定したのである。