武富士 9月に出ていた怪情報

某ブログその1

 某ブログ(どこのブログか忘れたが)によると、「武富士 会社更生法申請の愚行」という怪文書が業界内に流れていたと言う。同ブログいわく「業界内でも、これほどポイントを突いていたモノは初めてというほど、精度が高く、話題になっていた。」とのこと。その怪文書、見てみたいが、残念ながら、私自身は見たことが無い。
 そこには「今回の会社更生法申請は、DIP型なるスポンサーを決め殆どの経営陣が更生会社に残るスキーム」とあり(実際には主要役員は退陣した)、武富士の創業者が事業の買い手として手を挙げるのではと言う予想が書かれているらしい。所詮は怪文書だから、それほど信用はできない。ただ、武富士は今年3月末決算時点で既に貸付残高は6000億円ほどに減っていた。武富士は新規貸し出しをストップしているから、その6000億円もさら減っているはず。大体サラ金のリボ払いの月返済額は3、4年で完済するように設定されているから、今ある貸付金債権のかなりの割合が過払金に転ずるのではないか。さらに武富士は取引に1年以上の中断があってもどんどん一連計算を認めると言うことだから、訴訟すれば残有になるものが過払金になってしまう。そうすると資産額はかなり圧縮される。仮にそうして利限引き直し計算を済ませた後の債権額でも、それを回収するのに人も金もかかるから、その債権額で買える代物ではない。創業者個人の資力でも買収できるところまで資産価値が減少して行くのか。
 会社が再建型の整理をするときには会社更生か、民事再生のどちらかだが、大きな違いがある。その最大の違いの一つが、民事再生であれば旧経営陣がそのまま残るのが、会社更生であれば総退陣となる(今回の会社更生では一部の役員が残っている)。通常ワンマン企業はそれが理由で民事再生を選ぶのだが、武富士の場合会社更生を選んだ。その選択の理由は分からない。武富士の場合、他のサラ金と違って、一般債権者が少なく、債権者の8〜9割が過払金債権者だから、「民事再生創業家が役員に残ったら、個人資産を提供しろと、袋叩きに遭うからでは」と忖度したのだが、実際どうだったのか。
 それにしてもこのブログによれば、武富士が6月の約400億円の社債償還を無事に乗り切ったことで、「次の大型償還がある来春までは大丈夫という安堵感が、業界内に漂っていた。」とのこと。「それなのに怪文書が流れ、本当に破綻してしまいました。」「今なお、なぜ9月中の破綻だったのかは謎です。」とあるが、同感だ。キャッシュフローだけで行ったら、もっともった筈なのに。
 武富士の役員が、夏前だかにアイフルを訪ね、過払金対策について教えを請うたようだが、その時はまだ頑張るつもりだったのか。ただ、武富士のコールセンター開設といい、かなり以前から練られた計画だったようにも思われる。破綻するか否か、双方向を行ったり来たりの結果だったのか。その裏舞台は気になるところだ。

某ブログその1の補足

 結局、スポンサー募集に、創業家は手を上げず、ネオライングループのJトラストと、海外ファンド数社が手を上げている。(11.1.16追記)

某ブログその2

 「前年にアイフル事業再生ADRよる私的整理を行っていたため、武富士も2011年春前には、まぁそんな感じだろうという雰囲気だったが、結果として武富士の更生法は、マーケット関係者が織り込んでいた時期よりも早かった」「武富士は2011年のグローバルドル債償還、冬がヤマだと個人的にも思ってた」「CDS市場や社債市場も春夏にはそこそこ取引がされていた。例えば、覚えているケースだと、CDS社債がデフォルトした場合の損失補償が証券化されたもの)は、更生法適用前の夏に、DEC10(10年12月償還のことか)が、UF2%程度で取引されていた時もあった。」
 以上は「rsb30のブログ」からの抜粋です
 http://blog.livedoor.jp/rsb30/archives/3233260.html
(11.1.16追記)