武富士 本人宛通知で大混乱

サラ金は「家族に秘密」が命

 サラ金ならかつて利息は28%、29%が当たり前。クレジット会社の利息なら年18%なのに、なぜ敢えて高利のサラ金を利用する人が多かったのか。それは秘匿性にある。クレジットでキャッシングしようものなら、毎月自宅に利用明細が送られてくる。家族に見られたら「あなた、何この借金は!」などと言われることは確実。そのため世の亭主族は、勢いサラ金を利用することになる。サラ金はATMで借入、ATMで返済でき、自宅に利用明細も送ってこないからだ。ATMから発行された利用明細もATM横に置いてあるクズかごに捨ててしまえばいい。

武富士から自宅に通知が送られて来た

 司法書士債務整理を依頼していた人の自宅に、武富士から一斉に「保全管理命令が出た」旨の通知が送られてきた。武富士は、弁護士に債務整理を依頼していた顧客には送らなかったのだが、なぜ、このような違いが出たのかは不明だ。
 武富士の顧客は大抵の人が家族に内緒で借りているから、このことがきっかけで武富士から借りていることが分かってしまい、大パニックに陥った人が多かった。武富士のコールセンターには、会社更生への質問の電話が半分、この自宅送付に関するクレームが半分、といった状態になり、コールセンターもパニックになったと言う。

債権届を知れたる債権者には送らず

 コールセンター開設時に、聞いた内容では、取引中の顧客には債権届を送ると言うことだったのだが、東京の債権者集会で、保全管理人は、司法書士への依頼者個人に通知を送ったところ大混乱となったことを紹介し、「家族に秘密の方がいるので、顧客には、債権届を送らないことになると思う」と言っていた。
 会社更生法によれば「知れている更生債権者等の数が千人以上であり、かつ、相当と認めるとき」は、裁判所は、「知れている更生債権者等に更生手続開始決定あったことを通知しない旨の決定をすることができる。」としており、この条文を活用するのだろう。

「家族に秘密」の人は今後も油断はできず

 ただ、今後家族に武富士に借入の有ることが発覚する可能性はまだまだある。武富士が貸付金を譲渡し、お金に換える可能性があるからだ。その場合、弁護士、司法書士がついていても本人あてに債権譲渡(債権譲受)通知が行く可能性がある。