水野温さんは為替介入を肯定

為替介入、是か非か

 為替介入を求める声がだんだん強くなってきた。財務省が国の予算を使って、市場からドルを買い上げてはどうかということだ。しかし、反対論も根強い。輸出倍増政策を取る米オバマ政権が、円安を目指しての為替介入に良い顔をするだろうか、という不安。欧州もユーロ安で輸出が好調な現在、日本が意図的に円安をはかることに対しては批判的だろう。
 しかし、円高がここまで進むと、市場は日銀の国債買入、財務省の為替介入のどちらかが行われないと納得できないところまで来ている。今さら新型オペを拡充したどころでは納まらない雰囲気だ。
 マーケットは正直だ。ドル円は84円さえ割りかねない状況だ。

水野元日銀政策委員は為替介入を肯定

 水野温前日銀政策委員(クレディスイス・アジア太平洋地域副会長)は8月31日、英ロイターのインタビューに対し「介入に対する発言は日米関係からいってなかなか理解を得られず、単独介入はなかなか効果がないという声があるのはわかる。だが、アジアの当局関係者と話していると、押し上げ介入に対する理解は得られにくいが、日本ではなくて米国経済など海外要因による円高進行を日本としてけん制していく、顔を見せていく為替介入は一定の理解を得られるのではないか」と答えている。為替介入はやはり必要だが、要は大義名分をどうするかだ。

水野さんと言う人

 水野さんは、野村証券ドイツ証券クレディスイス証券を経て、日銀政策委員に就任した人で、唯一のマーケット出身者だった(他にもみずほ銀行三菱商事の役員出身もいるが、、)。日経公社債情報「債券アナリスト部門」第1位(1996年から1999年)、第2位(2000年から2003年)。インスティテューショナル・インベスター誌「日本債券調査」部門第1位(1997年から1999年)、第2位(2000年)というトップアナリストだった。しかし09年12月に退任。今政策委員に残っているのは、学者とメガバンク大手商社の元役員といった、人たちだ。この国難ともいうべき時に水野さんが日銀にいないのはつらい。