日銀金融緩和は想定内
日銀、新型オペ拡充
日銀が金融政策決定会合を本日臨時で開催。0.1%の固定金利での新型オペについて、これまでの期間3カ月、供給額20兆円程度のオペに加え、追加で10兆円程度、期間6カ月の資金供給を開始することを決定した。
市場は織り込み済みで、サプライズなし
ただこの内容は市場の予想通りで、円高トレンドを変えることはできなかった。日銀の進歩は、景気の下振れリスクをようやく認めたことか。それでも今さらと言う気がする。米経済指標が悪化し、景気回復も鈍化し、中には二番底さえ懸念する声さえ上がっている。欧州は財政緊縮に舵を切り、景気の悪化が懸念される。中国も景気回復の速度は減速しつつある。こうした中で、消去法で円が買われ、日本の輸出は大打撃。しかし日銀は景気の下振れ懸念はないと言い張り、金融緩和については消極的姿勢を取り続けた。
タイミングはずれていないか
ただタイミングのズレは如何ともしがたい。FRBが国債買い入れ開始等の金融緩和策を決め、円高がさらに進むことが予測されながら、その直前に政策決定会合を開き、FRBを様子見することとなった。火事の前に消防車を出し、消防車が帰った後に火事が起きたようなものだ。どうせなら、FRBの直後にやってほしかった。今さらやっても冷めたピザである。
どうせならもっと大風呂敷を
あるエコノミストが言っていたが、新型オペを拡充しても、資金需要が無い以上実態的効果がないというのは分かっている。だったらどうせのこと、もっと派手に拡充すれば良かったのではないか。
緩和を進めても、インフレ懸念などはないのだから、どうせならもっと大風呂敷を広げても良かったのではないか。実体経済に効果が無くてもマーケットに効果があればいいからだ。と言っても、日銀はそんなことは考えもしないだろう。日銀は為替動向によって、金融政策を決めることはない、という発想しかないからだ。
今週は米雇用統計の発表が
9月1日には8月米ISM製造業景気指数、3日には8月米雇用統計と米重要指標が出る。良い数値は期待できそうにない。そうなればさらに円高が進むことになる。さらにFRBが住宅担保証券の買い入れを再開したりと、金融緩和があればさらに円高に振れるかもしれない。
米の経済指標の悪化を警戒し、今後の切り札として、出し惜しみをしたのかもしれない。しかし、そうなれば、日銀の今回の新型オペ拡充も豆鉄砲に過ぎなかったことを、自ら暴露するだけの話になるかもしれない。