住宅ローン 店頭金利の意味

長期金利1%割れ

 8月4日、新発10年物国債利回りが1%を下回り、一時期0.995%にまで低下し、03年8月以来の低金利となった。短期的には米国の追加金融緩和が近いとの予測からのドル売りが原因だが、中期的には景気対策、金融緩和でお金が余っているのに、企業がお金を借りてくれず、銀行が仕方なく国債を買っているという現状がある。さらには今後のデフレ予測もあるだろう。

住宅ローンは高止まり

 長期金利が下がれば、普通住宅ローン金利も下がるはずなのだが、そうなっていない。大手行の8月の固定型の10年物の住宅ローン金利は4%ほど。10年物国債金利より3%も高い。2年程度前は2%差程度だったから、この2年間で1%も拡大したことになる。一方新規住宅ローン申込者には、店頭金利を一段下げた優遇金利を提供している。要するに銀行としては、「既存顧客向け金利は高くしても客は逃げていかないから高くしよう」、「新規顧客がほしいから金利は安くしよう」ということなのである。客はローンを組んだ瞬間から、客から債務者になる。債務者にサービスは不要という訳だ。
 そもそも住宅ローンに、店頭金利と優遇金利とがあるというのがおかしい。本来店頭金利という言葉があること自体おかしい。銀行は公器であるという本質からすれば、金利は一つであるべきだろう。