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米雇用統計

 7月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数が前月比13万人減少となった。もっとも、米国は国勢調査臨時雇用が減ったため、政府部門の雇用者が減少。民間部門の雇用者数は前月比7万1000人増にとどまり、市場予測値8万7000人を下回った。製造業が3万6000人増となったが、建設業は1万1000人減、金融業は1万7000人減となっている。オバマは「民間部門の雇用は7か月連続で増加した。製造業の雇用増は10年ぶりの高ペースだ」と得意気に記者発表しているが、はたしてどうなのか。
 米国は女性一人当たりの出生率が2.05と高い上、移民が流入しているため、労働力人口は増加傾向にある。米国は日本が高度成長期に味わった人口ボーナスをまだ抱えている国なのである。そのためこの程度の労働人口の増加では、喜んでいられないはずだ。

企業収益は絶好調

 では米大企業の業績はどうかということ、こちらは絶好調だ。しかし、雇用は振るわないのはなぜか。理由は簡単だ。企業は経費削減のため、部品の調達先を新興国に切り替えたり、海外での雇用を増やしているからだ。だから、国民の方には利益が全く回ってこない。米国民はクレジット社会にどっぷりつかっているため、家庭内のB/Sも悪化しており、このため米国民は返済に必死で、消費性向も落ちている。
 とにかく、雇用情勢が好転しないと、米GDPの7割を占める個人消費は冷え込む一方だ。