官僚の早期退職廃止に大賛成

日経の勘違い

7月24日付日経で民主党の公務員改革を次のように批判している。「天下りを禁止したことで退職勧奨に応じる官僚が減り、ポストが空かずに若手の抜擢が難しい点もある。中堅・若手官僚の閉塞感も強まっている。」「天下り根絶そのものは必要でも定年まで働く官僚が多くなれば人件費も増える」というのがその論旨だ。

トコロテン人事が元凶

しかし高級官僚だからと言って、全員を役職につかせなければならない必然性は無い。そのことは民間企業と比べれば明らかなはずだ。有能な若手・中堅官僚が不満を言うなら、むしろトコロテン式の順送り人事に文句を言うべきだ。役所では、若い期が古い期を追い抜くことをせず、そのため古い期が辞めて行かないと若い期がその席に就けない。そうではなくて、有能なら期の先輩を追い抜く人事をすればいい。そうすれば若手の閉塞感もなくなり、人事の活性化が図れるだろう。むしろガンは古い期が退職しないことではなく、古い期を追い越すことができない旧態依然の人事システムにある。日経はその点を全く勘違いしている。
天下りする人間がいなくなれば、人件費が増える、というのも見識を欠いている。これだって、トコロテン人事を辞めれば済む話だ。みんながみんな一緒に偉くなっていくから人件費がかさむことになる。能力の優劣に応じて、昇給の程度が変わって行けば、そういうことも無くなる筈だ。

真の無駄はどこにあるか

日経以外にもよくある勘違いがある。「天下りに払われる人件費」と、「天下りしなかったとして支払われう筈の人件費」を比較したり、「天下りへの人件費」の、特殊法人の経費全体に占める割合を捉えて、その効果の低さを指摘する主張のあることがそれである。そういった主張には、「天下りをなくすということが、天下り先の特殊法人をなくすことにつながる」という視点が欠けている。
例え話をしよう。ある子煩悩な大会社の社長に、10人の子がいた。10人の子のうち社長にできるのはそのうちの一人だけ。しかし、それでは残りの9人が可哀そうだ。そのため残りの9人が社長になれるように、子会社を9社作り、子どもたちはそれぞれの会社の社長にした。事業の発展、効率を考えて作った子会社ではなく、息子に地位と生活を保証するための子会社だったため、子会社の経営は非効率。結局親会社の出費で養われているだけ。9人の社長を作るために、9社子会社をつくり、その9社を維持するため無駄な経費が使われる。9人の給料、9000万円を払うために、90億円の赤字を作ることになりかねないということだ。
グリーンピアもこの発想で作られた。「OBに1000万円の給料を払うため、要りもしないグリーンピアを100億円かけて作ってやれ、毎年赤字が数億円出てもいいじゃないか。OBの給料を払うためだ。仕方ない。」なんて考えて、数千億円もかけて全国にグリーンピアを作りまくった。殆どが赤字を垂れ流し続けていたため、結局、二束三文で売却された。こういった愚を犯させないため、役人に悪心を起こさせないため、天下りを根絶しなければならないのである。