日航の更生計画、前途多難

1000億円増えた債務超過

 1月19日に会社更生法の適用を申請した時点で支援機構は日航債務超過額を8676億円と見積もっていた。しかし、実際の債務超過の額が約9500億円に達することがわかった。
 日航はグループで約1万6千人の人員を削減、燃費の悪い老朽機を処分する予定だが、早期退職金の引当金や、航空機の簿価と時価の差による売買損など、リストラ関連の損失が合計1兆円規模にも達したのが、その理由だ。

計画変更の必要

 当初、支援機構が計画でも、機構による3千億円の資本増強と銀行団による計7300億円の債権放棄が必要だったが、それぞれ500億円ずつ上乗せする必要が出てきた。
 支援機構は、銀行団に対し、11年3月末をめどに、銀行団に意3192億円の新規融資を求めている。支援機構と日本政策投資銀行としては、今しているつなぎ融資を、何とか銀行団に肩代わりしてほしいという意向だ。

合意に持ち込めず

 しかし、銀行は、これまで日航からの要請で追加融資しては、損が膨らみ、と騙され続けてきた。債務放棄と異なり新たに身を切ることになる新規融資には抵抗感が強い。融資に支援機構の債務保証を付けることも検討されているようだが、支援機構は5年で解散するため、実効性に乏しい。
日航は8月末に更生計画を提出するため、8月初旬には、是が非でも大筋合意したいが、銀行側は負担増に反発。結局、新規融資について銀行の同意が得られないまま、更生計画を作成、提出しなければならなくなった。結局「合意に向けた努力をする」という文言を入れただけの形で更生計画案を作成、裁判所に提出することになった。

日航がリストラ達成しても残る茨の道

 日航が現在計画中のリストラを実現できたとしても、いばらの道は続いている。日航のリストラ計画は、業績のⅤ自回復が前提となっており、再生計画の最終年度14年度には1331億円の黒字となることを想定している。しかし、その想定は、旅客需要が10年度は前年比1.9%増となり、その後需要は横ばいで保たれることが前提となっている。さらに、運航1km当たりの売上高や搭乗率は全日空を大きく上回るようにするという計画だ。簡単な話ではないだろう。国内線の客単価目標を1万5000円代後半に設定するが同業他社との競争、新幹線との競争が激しくなる中、1万2、3千円がせいぜいではという声もある。