米銀破綻、今年に入って100行超え

破綻の中心は地方の中小金融機関

連邦預金保険公社(FDIC)の7月23日付発表によると、新たに7銀行が経営破綻。今年に入って、計103行となるが、地方の中小金融機関が殆どだ。100行超えは、09年と比較しても約3カ月早い。FDICによると、財務状況の悪化した「問題銀行」が3月末時点で775行と、09年末(702行)から約1割増加している。

大手金融機関は好業績

 米大手金融機関6社の業績は、10年7〜9月期の決算でいずれも黒字を確保するなど堅調だが、その中身を見ると危うい面もある。たとえばJPモルガン・チェースの4-6月決算は、27億2100万ドルの黒字で、前年同期比36%増。投資銀行業務や債券取引が好調だった上、得意先の大企業が投資意欲を高めていることもあって、預貸率が改善されたからだ。しかし、貸倒引当金が約80億ドルと前年同期の約2.3倍に急拡大した。個人向け融資債権の焦げ付きが増え、カード事業は赤字に陥った。
 大手銀行の好決算は株価が支えているが、株価が低迷すれば業績は反転する。米銀はレバリッジ比率を下げており、リーマンほどのショックはないと思うが、良い結果にはなりえない。

大手企業の繁栄と国民の疲弊

 日付のブログでも述べたが、大手企業が栄え、国民は疲弊している現状がここにも表れている。さらに言えば地方の元気がない。そのため、地方銀行の貸出先は個人向け融資や、ショッピングモール等の商業不動産向け融資の比率が高く、個人向け融資は雇用悪化の影響から、商業不動産は消費の落ち込みから、焦げ付きが膨らんでいる。
 米政府の7月23日付発表によれば、10会計年度(09年10月〜10年9月)の財政赤字が1兆4710億ドルに達し、過去最悪だった09年度の1兆4130億ドルを上回り、過去最悪となるとの見込。今後の財政支出は期待できず、打つ手も限られる。