バーナンキ「経済見通しが依然異例なほど不透明」
バーナンキ議会証言
バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は21日に米上院で、22日に米下院で証言した。バーナンキが「経済見通しが依然異例なほど不透明である」と発言し、注目を集めた。
足元の米景気を概観すると、米大企業の業績は増収増益で好調、輸出は好調、消費は低調、デフレ基調、住宅は新規着工・中古販売ともに低調、雇用も低調といった状態だ。要するに企業は栄え、国民は困窮している。さらにここに来て欧州もソブリンリスクから実体経済の悪化に向かっている。
特段金融緩和策は進めず
バーナンキは言う。「われわれは引き続き、金融・経済動向を注意深く見極めていく。物価が安定する状況の中で米国の潜在生産力のフル稼働状態への回復を後押しするため、必要に応じ、追加政策措置を講じる用意がある。景気が悪化すれば、さらなる措置をとる用意がある。」と。
結局言っていることは、今は不透明で方針が決まらないから、何もやらない、ということだ。バーナンキは財政支出は減っても、各企業の先行きの需要を見越しての在庫の積み上げ、需要の伸びで景気はゆるやかに回復するとしているが、その根拠となるような数字はない。
米株は、21日は下落。バーナンキは、さらなる緩和措置としては、低金利政策を続ける期間をより明確にすることや、銀行の準備預金金利の引き下げ、住宅ローン担保証券(MBS)の購入再開を指摘したが。再開時期は明示しなかったし、再開の条件も示していない。市場はより一段の金融緩和策(来年4月までに政策金利を0.3%まで下げる等)がバーナンキの口から出ることを期待していたが、結局はなかったため、それまでの期待があった分、市場は下落した。