金融規制改革法案の詳細

清算権限:経営危機に陥った金融機関の経営権掌握、もしくは解体の権限を連邦規制当局に与える。規制当局は資産500億ドル超を保有する金融機関に対する手数料を算定することで、損失を埋め合わせ得る。
金融安定化監督評議会:リスク監視・対処のため、金融安定化監督評議会を設立する。評議会が金融機関を解体する権限を持つ場合がある。
FRB金融危機時にFRBが実施した緊急融資について、1度限りの監査を認める。FRBは銀行に対する融資の詳細を、2年の遅延をもって開示し得る。FRBの緊急時の融資権限も制限する。
ボルカー・ルール:大手金融機関の自己勘定取引を概して禁止する。資本の3%以下でのヘッジファンドプライベートエクイティ・ファンドへの投資は可能。
デリバティブ: 店頭デリバティブ市場に対する包括的規制を初めて設ける。通常のデリバティブについて、取引所等での取引、クリアリングハウスでの清算を求め、取引の透明性を高める。
店頭市場でのスワップ取引については、中央管理機関への報告が義務付けられる。
TARPの終了:TARPの早期終了により、新規制導入に伴うコストの不足を賄う。財務相はTARPの残りの資金を用いて新規プログラムを実施することは禁じられる。
消費者金融保護局: FRB消費者金融保護局を新設。住宅ローンなどに関する規制に関して権限を持つ。
先取特権:複数の州で業務を行う銀行に対し、連邦政府の基準よりも厳格な消費者保護法の適用を州政府に認める。
預金保険預金保険の上限を25万ドルとし、2008年1月1日にさかのぼって実施する。
住宅ローン:住宅ローンの貸し手は、借手の収入、信用履歴、職業の属性などを調べ、借り手にローンを返済能力があることを確認することを初めて求められる。
投資アドバイザー:ブローカー・ディーラーの資格基準を引き上げる権限をSECに与える。
証券化証券化業務を行う銀行に対し、クレジットリスクの5%を自行のバランスシートに残すよう求める。
信用格付会社:準政府機関を設立し、格付け業界を改革。格付け会社の過失に対する投資家の訴訟を容認。格付会社に罰金を科す権限を持つ監督部局をSECに設立。
企業統治:上場企業の株主に対し、幹部報酬等に対する拘束力を持たない投票権を与える。
ヘッジファンドヘッジファンドプライベートエクイティ・ファンドを登録制にする。規制当局によるシステミックリスクの監視に協力すべく、取引情報の提供を求める。
保険:財務省保険業界を監督するための連邦保険局を創設する。