LG化学は日本電池産業にとって脅威

オバマがLG化学の米工場起工式に出席

 オバマ大額統領が7月15日、ミシガン州内のLG化学の電気自動車用バッテリー工場の起工式に出席した。米大統領が韓国企業の行事に出席したのは極めて異例だ。

LG化学と米自動車の協力関係

 LG化学はGMの電気自動車ボルトに2次電池を供給していたが、フォードも同様の供給契約を締結。米二大大手自動車メーカーと協力関係が成立した。
 オバマはシカゴ出身。自動車産業とは結びつきが強い。オバマは就任後の米議会演説でも、自動車産業を作った我が国が自動車を作ることをあきらめていいのか、とGM支援を明確にしていた。このオバマ政権下でGMは、大きく生まれ変わった。国有化され、レガシーコスト(負の遺産)から自由になり、財務体質も大幅に改善された。北米市場ではGM、フォードの二社の巻き返しが著しい。
 米自動車メーカーは、確かに小型車開発、低燃費車開発、電気自動車開発に後れをとってきた。ハイブリッド車についての技術的な遅れは取り戻しようがないが、電気自動車については十分可能だ。電池とモーターで動く電気自動車については、電池さえめどがつけば十分キャッチアップが可能なのだ。GM、フォードはLG化学から電池供給を受けることでそれを可能にしたといえよう。
 LG化学もミシガンという米民主党の地盤に工場を作ることで、オバマに恩を売ることができた。オバマもそれに応えている。LG化学のこの工場も、米政府のグリーンディール政策により、投資総額の半分に当たる1億5000万ドルの現金支援を受け、ミシガン州から税金減免優遇も受け、工場建設による負担を大幅に軽減できた。

LG化学と日本メーカーの死闘

 日本メーカーは電池技術で技術的優位を誇ってきたが、この分野に関する韓国、中国の進出は著しい。LG化学は韓国を代表する電池メーカーだ。韓国は日本と違い、どの業界もトップメーカーは1社だけ。電池はLG化学、造船、自動車は現代、家電はサムソン、製鉄はポスコといった具合だ。国内競争で体力をすり減らすことなく、海外で思う存分腕を振るえる。
 LG化学は、韓国の現代・起亜自動車、米国のGM、フォードのほか、中国の長安汽車集団、スウェーデンボルボなど計7メーカーと供給契約を締結しているが、同社は「年内に3〜4社と新たに供給契約を結ぶ予定で、大手メーカーとの契約も含まれいる」としている。

ボリビアからリチウム確保

 ボリビアのモラレス大統領が8月25日、2泊3日の予定で韓国を訪問した。訪韓初日の25日、大統領資源特使であるハンナラ党李相得議員(李大統領の兄)と韓国鉱物公社社長、LG商事、ポスコ、大宇インターナショナル、SKエネルギー、GSカルテックス、LG化学、高麗亜鉛、三扶土建など国内企業の代表と夕食を一緒にした。すべてリチウム開発の関係者である。
 李相得議員は夕食会の席で「韓国はボリビアからリチウムをただ持ってくるのではなく、そこで加工した後、輸入する計画であり、これを通して現地人の所得と雇用増大に寄与する」と述べた。
 李大統領とモラレス大統領は26日、大統領府で会談し、両政府の間でリチウム抽出研究開発および事業化協力のための了解覚書を交わした。李大統領は、韓国政府が2014年までに2億5000万ドルの対外経済協力基金借款をボリビアに支援することを約束。
 同日、韓国鉱物資源公社とボリビア鉱山公社とは「ウユニ塩鉱山の蒸発資源産業化研究開発に関する了解覚書」を締結。鉱物資源公社は昨年8月、ボリビア科学委員会および国営鉱業企業と了解覚書を締結し、ウユニ湖の塩水で炭酸リチウムを製造する技術を開発してきた。
 ウユニ湖は埋蔵量ベースで世界の50%近くを保有するとされる。
 ところで我らが菅首相、モラレス大統領が訪韓した8月25日、菅事務所で民主党の衆参当選1回議員と意見交換し、代表選票固めに奔走。李大統領とモラレス大統領が会談し、リチウム開発で合意した26日には、民主党1年生議員から「我々は闘うリーダーを望む」なる檄文を貰い悦に入っていた。
(10.9.2)