金騰勢続く

12日NY金再高値

 12日のニューヨークの金先物相場は、6月物が前日終値比22.80ドル高の1オンス=1243.10ドルで終了し、前日に続き終値ベースでの最高値を更新した。騰勢はその後も続き、電子取引では一時1249.20ドルに達し、同日記録した取引途中での最高値(1247.70ドル)も塗り替えたようだ。

安全資産へのシフト

 欧州諸国の財政懸念がくすぶる中、安全資産を求める動きが活発化しているということだ。EU、IMFの支援策、各中銀の国債買取により、ギリシャ国債の価格の暴落は抑えられた。しかし、ギリシャの後には、ポルトガル、スペイン、アイルランドが後に控えている。マネーゲームの中で、少しでも弱みを見せれば売りを浴びせてくる。群れから脱落した国はライオンの餌食になる。これらの国の国債がドミノのように倒れて行けば、次は英国だろう。そうなった場合、IMFでさえ、持ちこたえられない。米ドルLIBOR(ロンドン銀行間金利)も、じりじり上がってきている。

ドル相場との逆相関関係の消失

 問題なのは、最近の金価格上昇がドル相場との逆相関になっていないことだ。ニクソンがドルと金の交換を停止して以来、ドル価格と金価格は絶えず力比べをしてきた。ドルが弱くなれば金が強くなり、ドルが強くなれば金が弱くなったのである。しかし、最近はドル相場が強くても、金が騰勢を続けている。
 有名投資家のジム・ロジャースが、商品相場、とりわけ金を勧めているのも、今後のインフレを懸念してのことだろう。通常インフレは、景気拡大期に起きるものだが、不況なのにインフレが進行することもある。これがスタグフレーションだ。

ECBが始めたマネタイゼーション

 ECBの主導の下、欧州各国の中央銀行は、ギリシャ危機が他の国債破綻につながらないように、財政が悪化した国の国債の買受けを大量に行い始めている。財政不足を通貨発行で補っている訳で、市場との綱引きに負ければ、通貨価値の暴落、インフレになりかねない。マネタイゼーション、財政ファイナンスは本来禁忌だったはずだが、なりふり構っていられないということだろう。
 もし、欧州でハイパーインフレとなったらどうなるだろう。資金が円、ドルに流れ込んでくるので、そこでもインフレになり、、、