キャメロン保守党政権誕生か

英議会選挙の出口調査結果

6日投票が行われた英総選挙。英国では二院制がとられ、上院と下院があるが、この選挙は下院選挙。上院の正式名称はHouse of Lordsで、文字通り貴族が議員となっているので直接選挙は無い(因みに下院はHouse of Commonsで、直訳すれば庶民院)。
従来、英国では労働党、保守党の二大政党が政権を争い、両党が交代に政権を担ってきた。因みに現在は労働党が政権をとっている。しかし、二大政党時代も終わりを告げそうだ。

ハング・パーラメント

BBCなどの出口調査による各党の予想獲得議席は、保守党が307、労働党が255、自由民主党が59。トップの保守党も、過半数議席を獲得できない「ハング・パーラメント」となる見込みだ。報道によると、保守党を率いるキャメロン党首は自由民主党と連立を組もうとしているらしい。

内政、外政の課題

 内政では、2兆1000億ポンド=GDPの150%という公的債務、9兆1000億ドル=GDPの423%という対外債務。これをどう解決していくかが、再大の課題だ。はっきり言って、財政削減と増税しか、方法がないが、連立政権という制約の中で、どれだけ効果的な手が打てるだろうか。自由民主党は、マニフェストで、所得税基礎控除の1万ポンド(約140万円)への引き上げ、大邸宅所有者への課税をうたっている。保守党も、後者の政策は公約に挙げているが、前者については調整が問題になる。
 外政では、自由民主党は、イラク出兵に反対したこともあり、対米追従を否定する。1月29日、イラク出兵当時の首相だったブレアが、英議会の独立調査委員会に証人として呼ばれたことからも分かるように、イラク出兵は誤りだったというのが英国民の大方の心情だろう。英国首相が「ブッシュのプードル」と呼ばれるような(ブッシュはブレアのことを「いや、プードル以上の仲だ」と言ったとか、言わなかったとか)時代はもう訪れないだろう。米国のアフガン戦略にも影響しそうだ。

追加10.5.12

 選挙で第2党に転落した労働党のブラウン首相は自由民主党自民党)との連立を断念して辞任を表明。第1党となった保守党は自民党との連立で合意、保守党のキャメロン党首を首相とする連立政権が誕生した。