中国で不動産取引激減

5月の連休中の不動産取引が激減

 例年、中国では労働節(メーデーで始まる1〜3日を休日にしている。)には、住宅販売が大きく膨らむ。しかし政府の住宅ローン規制の影響があってか、今年の労働節の1日当たりの契約戸数は、4月の1日当たりの契約戸数を8割以上下回った都市が続出したという。例えば、北京では1日当たりの契約戸数は、4月が1164件だったのに比べて、5月1日、2日が平均211件だった。

政府の住宅ローン規制

 4月になって政府は、2軒目の住宅購入の頭金を40%から50%にアップし、住宅ローンの最低金利もアップさせた(因みに、1軒目の住宅購入については90㎡以上の物件につき 頭金は最低30%)。
 国務院はさらに、17日、不動産価格騰貴が顕著な地域では、3件目の住宅購入者への銀行ローンを一時停止するほか、地元での1年以上の納税や社会保険料の納入証明のない非居住者への不動産融資も停止するよう求めた。
 また、不動産価格が急騰している地域の省・市政府は当該区域の状況に応じて、一時的に購入可能な物件数を制限できる。投機的な目的で住宅を購入しようとしている人への融資を拒否することを銀行に求めている。国有など公的企業が不動産事業に乗り出すことを禁じた。通達ではさらに「一部都市で不動産投機が活発化している。市場安定や住宅建設努力を怠れば責任を追及する」と厳しくクギを刺している。
 国務院は政府のウェブサイトに掲載された声明で「住宅と土地の価格は一部の都市で最近、過剰に急上昇している。投機的な購入が再びかなり活発になっており、細心の注意を必要としている」「すべての地域および関連機関は、住宅価格の過剰な急上昇による弊害を完全に認識し、中央政府が決定した政策を効果的に実施し、不動産価格の抑制に向けた断固とした措置を取らなければならない」としている。
(ロイター2010年4月19日等)
 この通達が市場に伝わった19日、不動産や銀行関連株が売られた。代表的な株式指標である上海総合指数が前営業日の終値比で昨年8月以来の大幅な下落率となる4・79%も下げて3000台を割り込んだ。

中国国民のバブルへの警戒度

 Searchinaが10年3月28日に中国人858人に行った「不動産バブル崩壊のスケジュール、日本と中国の類似性をどう考える?」と問うアンケートで、回答者の33.57%が「はい」と答え、28.23%が「いいえ」と答えている。3月でもこの結果だから、4月にこうした規制があってからは、さらに低くなるものと考えられる。

追加:10年6月末不動産融資残高

 6月末の不動産向け融資残高は前年同期比で40.2%増えた。依然高水準であるが、伸び率は3月末より4.1ポイント低下した。また6月末の不動産開発向け融資残高は26.1%増。伸び率は3月末より5ポイント低下した。(10.7.24日経)