米住宅、どうなる

FRBMBS買い取りを終了

FRBは3月16日の連邦公開市場委員会=FOMCで、1兆2500億ドル相当の住宅ローン担保証券MBSの買い取りを予定通り終了すると明らかにした。

FRBの資産の半分がMBS

 FRBは09年1月からMBSの買い取りを始め、次の表のように毎月せっせと積み上げてきた。
http://3.bp.blogspot.com/_pMscxxELHEg/SyaRhn5IzhI/AAAAAAAAHBg/xw2MZtls4vo/s1600-h/FedMBSPurchasesDec2009.jpg
 FRBが3月25日発表したデータによると、FRBの総資産額は2兆2960億ドル。うち、MBSが1兆0740億ドルと約半分を占めるまでに至っている。
http://3.bp.blogspot.com/_pMscxxELHEg/SyaRhCDO8vI/AAAAAAAAHBY/Q8XgRZxeBqU/s1600-h/FedAssetsDec2009.jpg
 上のアドレスをクリックしてもらうとFRBの資産構成要素の推移が見て取れるが、サブプライムショック前は緑色の国債が資産の殆どだった。同危機以後金融機関への融資が徐々に増え、リーマンショック以降は紺色の金融機関向け融資が激増したほか、灰色のノンバンク向け融資も始まった。09年に入ってからは金融機関・ノンバンク向け融資が減少する中茶色のMBSが急増して行く。Agency&MBSとなっているがAgencyは「FHA=連邦住宅局」発行の証券の買取で、MBS=Mortgage Backed Security=住宅担保証券、ジニーメイ連邦政府抵当金庫)、ファニーメイ(連邦住宅抵抗公庫)、フレディマック連邦住宅金融抵当金庫)発行証券の買取ではないか。因みに水色のMiscはmiscellaneous=その他諸々。
 これを見て分かるように、FRBのバランスシートが現在は極端にMBSに偏ったものになっているのが分かる。米経済としては新築住宅着工件数も弱含みで、MBSの買取継続を期待したいところであろうが、既に限界だということだ。

住宅ローンは延滞率が高止まり

 米当局が発表した第3・四半期の米モーゲージリポートによれば、
深刻な延滞状態にある米プライムローン(優良顧客向け住宅ローン)が、前期比20%近くも増加したという。前年同期比では2倍以上に増加。深刻な延滞状態にあるプライムローンの比率は3.6%となった。米抵当銀行協会発表によると最新四半期(4Q)の延滞率は9.47%と11四半期ぶりに減少したが、差押え率は4.5%と15四半期連続で増加している。米失業率は回復気味ではあるが遅々としており、今後も延滞率が下がるかも不明である。
 今後の延滞率の進展次第でFRBの資産の劣化が大きく進む可能性がある。

FRBMBS売却プロセスも

 3月25日付ブルームバーグによると、バーナンキFRB議長は同日下院金融委員会で、FRB保有MBSについて「ある時点で段階的な売却プロセスに入るとみている」と説明。売却は「金融を抑制する」手段の1つだと指摘した。同議長は2月の段階では「少なくとも政策の引き締めが実施されるまで、いかなる証券も売却しない」と言っていたが、今回はその旨明言しなかった。
 しかし住宅取得減税も4月で打切りになり、長期金利も上昇気味で、失業率も高止まりということになると、なかなか売却のタイミングを計るのは難しいことだろう。