日産とダイムラーの業務提携、その先にある国際標準

新聞報道から

日産自動車が独ダイムラーと大型エンジンの調達で提携を検討しているという。日産と資本提携している仏ルノーダイムラーと、昨年来、技術提携交渉を進めていた。そのため、日産も提携に加わるだろうという話は以前からあったが、いよいよ本決まりらしい。今週中にゴーンCEOが役員会で発表の予定だという。
日産は来年度中に日米欧で電気自動車の量販を開始することもあり、電池の供給や環境技術面での提携を模索している。日産とダイムラールノーは、相互に車台や部品、原材料を共同調達してコスト削減を図ることを提携の課題としている。さらに株式を持ち合う資本提携まで進むかは未定。
(10.3.23日経)

業務提携の先にあるもの

 ここでは、提携の目的が3つ語られている。大型エンジンの調達、電池供給と環境技術提携、車台・部品等の共通化の三つだ。大型エンジン、電池供給面での提携は開発費の節約になり、車台等の共通化は開発費と調達コストの節約になる。しかし、電池供給と環境技術提携は、開発費の節約以上に、自社技術の国際標準(Global standard)への採用の意義が大きいのではないかと思う。
 国際標準とは、製品の品質、性能、安全性、寸法、試験方法などに関する国際的な取極めのことです。工業製品が国際的流通する際に、それぞれの国がそれぞれの規格を作っていると、商品の国際流通が阻害されるので、これを問う位置しようというのである。
現在国際標準については国際間で熾烈な争いが行われている。国際標準で一歩先を行っているのがEUだ。EUの加盟国間で、自国の規格をEUの統一標準にしようと争ってきた歴史があり、国際標準作りに長けている。ほうっておくとEU標準がそのまま国際標準となってしまい、異なる標準を使っている国の企業は、それに合わせた製品づくりをしなければならず、あるいは国際標準にかかる特許技術を金で買わなければならないため、国際競争上不利に立たされる。この点では、日米韓中いずれも遅れをとっている。
国際標準で勝利を得るためには、三つの方法しかない、その分野で圧倒的な技術的優位と市場優位を獲得すること、非欧州諸国同士で協調し欧州の対立軸を作ること、欧州企業と共同で技術開発を進めることだ。日産はこの第三の道を歩もうとしているのではないか。
ほかにも、スマートグリッド、環境技術等の国際標準をめぐって熾烈な争いが続いている。日本も、分野ごとに3つの道のうちのどれを進むべきか、戦略的な判断が必要になる。ただ、そうした判断を一番苦手とするのが日本企業なのだが、、、