灰色収入

 中国の王小魯国民経済研究所副所長は、灰色収入は年間約4兆4000億元(約57兆円)にのぼると試算している。灰色収入は政府が補足できない収入を指すが、官僚らが地位を利用して受け取った資産収入も含んでいる。温家宝首相は、全人代に先立つ3月5日、富の公平な分配を主張、「灰色収入を断固取り締まり、灰色収入をルール化する」と語ったが、全人代で異論が噴出。最終的には「合法的な収入を保護し、不法収入を取り締まる」となったが、灰色収入を取り締まる政府の姿勢は後退したと受け取られているようだ。(日経10.3.16)
 14日に閉幕した今回の全人代では、農村戸籍都市戸籍の統合、社会福祉の進展等、所得格差を是正し、内需拡大に切れるかが、ポイントだったのではと思っているが、結局、掛け声だけで実際の進展はあまり見られなかったように思う。
 中国株のコンサルティングをやっている私の友人も、この点が中国経済の弱点だと指摘していた。、所得の再分配が行われておらず、サービス業の拡大等による内需拡大が図られず、将来性を無視した投資だけが先行してしまうからだ。胡錦濤温家宝ら共青同派は、所得の再分配格差是正を進めようとしているが、やはり既得権グループの利益を代表する太子党グループの抵抗を打ち破れそうもない。
 私が先の友人に「上海万博が終わったら中国株は下がるかな」と聞いたところ、下がるんだったら万博前だろうとのこと。