警察の闇金取り締まりの現状

金融庁PTの警視庁への聞き取り

 金融庁が主催する「貸金業制度に関するプロジェクトチーム」というものがある。古い情報で申し訳ないが、その第三回事務局会議が09年12月7日にあったのだが、警視庁が闇金対策についてPTから聞かれ、次のように回答している。

警視庁の回答

 警視庁の回答は次の通り。闇金対策についての現状がおおよそ分かるので紹介する(金融庁HPより)

  1. ヤミ金融問題の変遷について、平成14年頃から「090金融」、「システム金融」等ヤミ金融の横行が大きな社会問題となり、貸金業規制法の改正が行われ、法改正に相まって集中取締本部による取締りの強化を行った。
  2. 集中取締本部は平成19年4月20日に決定された「多重債務問題改善プログラム」の中にも取り込まれ、現在も取締等を行っている。
  3. ヤミ金融事犯検挙状況について、平成20年度は437事件で860名を検挙している。
  4. 過去の主要検挙事例としては、「090ヤミ金融グループによる貸金業法違反及び出資法違反意見」や「大規模ヤミ金融グループ及び名簿屋による貸金業法違反等並びに携帯電話レンタル業者による携帯電話不正利用防止法違反」があり、その他にも「暴力団を利用した取立て行為に絡む逮捕監禁及び強要事件」等がある。
  5. ヤミ金融事犯における暴力団関与割合の推移は、平成16年から平成20において、概ね3割程度で推移している。
  6. ヤミ金融事犯の手口としては、「090金融(事務所・店舗を持たずに携帯電話を連絡手段とし、貸付け、取立てを行うもの)」や「システム金融ヤミ金融グループ間で、適宜債務者に関する情報を交換し、同一債務者に次々と融資を行うもの。)」がある。また、手口の悪質・巧妙化が進んでおり、捜査が困難になってきている。
  7. 犯罪インフラの対策として、次のことを行っている
  • 金融機関に警察から依頼する「口座凍結」は平成19年7,892件、平成20年10,171件であり
  • 厳しい取立てに対して警察が直接電話する「電話警告」は平成19年10,557件、平成20年12,529件であり
  • 不正利用防止法に基づき携帯電話を利用できないようにする「携帯電話契約者確認要求」は平成19年206件、平成20年1,025件である。
警察の進歩

 警察もかつてはひどかった。闇金が自宅に取り立てに来たので、警察に電話し来てもらっても、被害者の方に利息無での分割返済を約束させたり、ということもあった。また闇金は、親族や友人の連絡先も聞くため、延滞するとこちらにも電話がかかるが、ある案件では「他の人に迷惑がかからないように、闇金から電話が来たら必ず電話に出なさい。それがあなたの責任だ。払えないことを繰り返し言って相手が諦めるまで待ちなさい」なんて、一体どっちを向いて仕事をしているのか分からないところもあった(下関警察)。
 最近はかなり、改善された。これは最高裁が「闇金は返済として受け取った金額も返還するように」といった判決を出したこともあるし、警察庁闇金対策に本格的に取り組んだ成果もあろう。厳しい取立てに対して警察が直接電話する「電話警告」が、平成19年は10,557件、平成20年には12,529件あるというのだから、警察も進歩している。

今の闇金の取り立ては電話だけ

 こうした取締状況の中、闇金が自宅に取り立てに行けば逮捕されるだけだ。そのため、今の闇金は電話で嫌がらせをするしかない。ただ勤務先にもしつこく電話してくるので、そうなる前に警察に相談した方がいいだろう。それでダメだったら弁護士に相談し方がいい。警察はタダだから、利用しない手はない。
 闇金にとって、一番怖いのは、銀行口座を凍結されること。犯罪収益移転防止法という法律ができてから、被害者からの申し出があれば銀行はすぐ口座を凍結してしまい、申し出た被害者に配当される。すると闇金は、せっかく回収した金をみすみす失ってしまう。また、闇金は自分名義の口座など作らない。ネットとかで第三者名義の口座を買って利用している。こうした他人名義の預金口座を買うにも費用がいる。その金も無駄だ。だから闇金への振込の控えは必ずとっておくこと。弁護士もその口座の存在を言えば、闇金もビビる。ただ、この配当手続は、途中預金権利者保護のための公告期間もあって、配当されるのに1年近くかかる。
 闇金が多く利用する銀行というものがある。それだけ銀行のセキュリティーが甘いのだろう。三菱東京UFJは前身のUFJの自動判別ソフトの機能がよかったため、利用する闇金は少ない。逆に利用者が多かったのが三井住友銀行だった。その後トレンドは三井住友銀行からセブン銀行へと移り、最近ゆうちょ銀行が大人気だ。甘甘なんだろう。