欧州の景気回復進まず

 日経の1月11日付記事の見出しに「欧州企業、回復遅れ鮮明」とあった。欧州経済は米国経済に比べ回復の遅れを示す数字が続いている。

  • 10年の企業倒産件数は3%増と3年連続で増える見通し(米は4%減と4年ぶりに減少)。
  • 米格付会社ムーディーズによれば、ジャンク債(格付けが投資的確に満たない社債)の債務不履行率の上昇に歯止めがかからない。(米では09年11月上昇に歯止めがかかった)
  • ユーロ16カ国の09年11月の失業率(季節調整値)が10%と、99年の通貨統合後初めて2ケタとなった。ことにスペインはユーロ圏で最悪の失業率に苦しんでいる。政府は失業対策のため、公共事業を実施してきた。公共事業と言っても、欧州の名所を再現したテーマパーク、スポーツ複合施設、闘牛場といった代物だ。スペインでは財政赤字の対GDP比率が11%にまでなっているが、ECのルールで3%にまで減らすよう求められているため、10年には予算を縮小せざるを得ない。そうなれば、さらなる失業率の上昇を招くだろう。

 人材派遣の業界団体AGETTアソシエーションによれば、年末に80億ユーロ(約1兆450億円)規模の景気刺激策が終了することなどから、年明けに25万人が職を失い、失業率は20%を超える見込みだという。ブルームバーグの調査によると、同国の失業率は10年に20.5%に達する可能性がある。