一人オーナー課税廃止
22年度税制改正大綱
09年12月22日閣議決定された平成22年度税制改正大綱。法人税関係では次の内容が盛り込まれた。
- 特定非営利活動法人の認定手続きを簡素化
- 寄付金控除の適用下限額を5000円から2000円に引き下げ
- 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度(1人オーナー課税)の廃止
- 中小企業投資促進税制の2年延長
- 試験研究費に対する税額控除制度(研究開発税制)の2年延長
- 交際費等の損金不算入制度の2年延長。
この中で、注目を集めているのが特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度の廃止だ。今年4月1 日以後に終了する事業年度から、この制度が摘用されなくなる
一人オーナー課税とは
この制度はもともとあったものではなく、平成18年度税制改正で新設され、同年4月から開始する事業年度から適用されているものだ。「ざっくり」で言うと、全株式の9割が親族等が保有し、役員の過半数を親族等で占めている場合、役員となっている親族等に支払われる給与のうち、役員の給与所得控除相当額を損金不算入とする、というものだ(法人税法35条)。
これは平成18年5月から施行される新会社法によって、会社設立が容易になるため、給与所得控除を利用しての節税が目的で、会社設立が増加するだろうとの予測から、これへの対策として新設された。
例えば、法人所得が1000万円、役員給与が600万円だったとする。この場合、給与所得控除額は174万円だが、これが法人所得に加算される。法人所得は1000万円から1174万円になる訳だ。この加算分174万円について、法人税率が30%だから、法人税額が約52万円アップとなる。