貸金業法は完全実施 しかしセーフティネットは?

 金融庁は13日、来年6月までに完全施行する改正貸金業法を円滑に導入できるよう、業界や利用者への影響を点検するPT(座長・大塚耕平金融担当副大臣)を設置すると発表した。PTは金融庁消費者庁法務省副大臣政務官らで構成、11月中に初会合を開く。金融庁田村謙治政務官はこの日、「完全施行を前提に、運用面で必要なことを検討したい」と述べた。
 「完全実施を前提に」というから、制度そのものの見直しや、施行延期は考えられなくなった。すると問題になるのはセーフティネットの充実だ。
 一つには低所得者向けの福祉貸付の制度がある。亀井さんも「少額の緊急的な融資にも応じる態勢を作る責任が国にはある」と言っている。民間が、利制法の上限利息の範囲内で低所得者層に貸し付けることができることが、本来は理想だ。金融庁は、信用組合や信用金庫による貸金業への参入を想定している。しかし、CPを考えた場合、二の足を踏むだろう。そこで出てくるのがいわゆる岩手方式だ。岩手では、生協が、生活指導も組み合わせて融資を行い、地方自治体ともタイアップしている。 しかし短期間に、こうした仕組みを全国に広げるのは非常に難しい。国と自治体が相当な覚悟を持ってのぞまなければならない。
 それでは、零細事業者にはどういう手当が考えられるのか。福祉貸付も、生協からの融資も無理で、中小企業信用保険法による、特定中小企業認定の対象を広げて行くか、日本政策金融公庫に日本版グラミン銀行のような機能を持たせていくことになるのか。早急に具体策を決める必要がある。