日本郵政 西川さんの後は元大蔵事務次官

日本郵政の新社長に元大蔵事務次官が就任

郵政担当省の亀井さんが、21日午前の記者会見で、20日辞任を表明した「日本郵政」の西川善文社長の後任に、旧大蔵省(現財務省)の元事務次官の齋藤次郎さんを充てることを発表した。齋藤さんは、大蔵省で「10年に一人の大物」と言われた人。竹下政権時代から、小沢さんとタッグを組んで剛腕を振るっていた。大蔵事務次官になってから、細川政権が成立すると、小沢さんと一緒になって国民福祉税(消費税を3%から7%に上げ、福祉目的税としようとした)構想をぶち上げた。齊藤さんはその後自民党政権になってから干されてしまった。齊藤さんは元財務官僚であると同時に小沢さんの片腕でもあった人だ。

民主と財務省はラブラブな関係

民主党は、野党時代、元財務次官の武藤敏郎さんが日銀総裁指名に反対したが(その結果日銀総裁になったのが現在の白川さん)、そうした経緯からすると、アンチ財務省のように見えるが、実際はラブラブだということが、今回いっそう明らかになった。
財務省にとって、ゆうちょ銀行はのどから手が出るほど欲しい存在だ。民主党政権も冗費削減と言ってはいるが、この大不況下で、緊縮財政などとれるはずがない。当然、今後も赤字国債を今のペースで発行して行かざるをえない。財務省としては、国債が市場で順調にはけて、長期金利の上昇をくい止めることが必須だ。ゆうちょ銀行は国債の一番のお得意さん。ゆうちょ銀行の民営化は、「ゆうちょ銀行は、利率が2%にもならない日本の国債など買わずに、米国債とか、もっと高配当の金融資産に出資すべきだ」という、小泉−竹中ラインが企んでいた日本の米国金融植民地化政策を実現するためのものだった。財務省がゆうちょ銀行を支配下におけば、ゆうちょ銀行に国債をどんどん買わせることができ、長期金利も上昇せず、財政の安定も図れるという願ってもないことになる。

財務省の本音

 今までの予算編成では、財務省も、政治家案件には、大ナタをふれなかった。民主政権は、削れ削れと言っているのだから、財務省は手ぐすねひいて待っている。ある財務官僚が言ったそうである。「今までの政治が官僚主導だったって?とんでもない。官僚主導だったらこんな800兆円も財政赤字にはならなかったよ」
 民主党財務省の利害は一致している。財務省もこれだけのプレゼントをもらったのだから、民主党政権の公約実現のために奮闘努力するだろう。
07年10月、田波耕治元事務次官(昭和39年入省組)が国際協力銀行副総裁から総裁に昇格、薄井信明元事務次官(昭和40年入省組)は国民生活金融公庫総裁に留任できた。しかし、これらの機関は中小企業金融公庫農林漁業金融公庫とともに、08年10月「日本政策金融公庫」に統合され、そのトップには民間出身の安井祥策さんが就いている。今後、元次官が昇格できるか、今後も財務省天下り先として確保できるのかは、今後も民営化の進展具合にかかっている。民主党政権のカラーからすると、日本政策金融公庫は、公的存在として残し、中小企業金融やセーフティネットの役割を残しておくのではないかと思われるが、その方が財務省の植民地として残しやすくなる。財務省はこのあたりを最後のおねだりにして、それとの交換条件で、民主党政権を支える立場に回っていくだろう。