ネタニヤフ政権、入植地住宅建設を許可

イスラエル政府は右派超党派政権

 イスラエルのネタニヤフ政権が、ヨルダン川西岸にあるユダヤ人入植地での入植住宅建設を許可した。2月の総選挙で誕生したイスラエルのネタニヤフ政権は、彼が党首を務めるリクードだけでは、過半数を占められず、リクードよりさらに強硬的なタカ派と連立を組んでいる。今回の措置もある程度予想はされていた。
 オバマ大統領は、6月、エジプトで、パレスチナ国家の樹立が中東和平の「唯一の解決策」と言明し、ユダヤ人入植地をこれ以上拡大しないよう、自制を求めてきた。イスラエルオバマの要請を無視したわけだが、計算づくのことに違いない。ユダヤ系米国人が経済・政治の中枢を占める米国では、議会でもイスラエル支持者が圧倒的に多い。ネタニヤフは、オバマが議会の意向を無視して、イスラエルにどの程度の圧力をかけてくるか、オバマの本気度を試している。

イスラエルハト派は少ない。

 イスラエルは昨年12月ガザに侵攻したが、この決定をした当時の政権は、一応穏健派とされる労働党政権だった。イスラエルにはタカ派ハト派がいるのではない、強硬なタカ派と、やや強硬でないタカ派がいるだけだ。 

狂信的なユダヤ人入植者たち

 イスラエルでも入植地拡大に反対論はある。入植者は筋金入りのユダヤ原理主義者であり、彼らの過激な行動に批判的な立場に立つ人も少なくない。
 例えば、ユダヤ人入植者は自分の子供たちに、パレスチナ人に石をぶつけるよう、教え込んでいる。入植者の多くの子どもたちは、放課後になるとパレスチナ人居住区に押し掛け、パレスチナ人の子どもや女性たちに、石を投げつけ、バレスチナ人の家や学校に投石しガラスを割っている。イスラエル兵は地区をパトロールしているが当然これを制止しないし、逆にパレスチナ人が反抗すれば逮捕する。だからパレスチナ人はやられるままだ。
 なぜ入植者たちは子どもたちにそのようなことをさせるのか。それは12歳以下は刑事責任を取らされないからである。ユダヤ原理主義者たちからすれば、パレスチナに住むことは神が決めたことであり、パレスチナ人を追い出すことは神の意志に適うことだ。彼らは自らの正義を信じて、自分の子供たちにパレスチナ人を襲わせている。
 パレスチナ人は先般のガザ侵攻で子どもたちも狙い撃ちされたと訴えているが、米国系マスコミは無視している。しかし、こうした入植者たちの子どもが成長して兵士になれば、パレスチナ人の子どもを撃ち殺すことは十分あり得るだろう。