REITを選ぶ基準

 8月30日付日経に、投資すべきREITを選ぶときのチェックポイントとして次の点をあげている。

  • 投資法人が公表する予想分配金額の増減や理由を確認する。
  • 運用資産に占める借入比率が高いと、将来資金繰りで苦戦する可能性
  • 投資法人の資金調達力を、スポンサーの顔ぶれで判断
  • 運用対象が、オフィス、住居にどのくらいウェートを置いているか。中心は何か
  • 運用資金の規模が大きくなると運用は安定する。

 東証REIT指数は、07年に一時期最高値2612.98に達したが、リーマンショックで昨年10月に704.46万にまで同指数は下がったが、現在は1004.84にまで上がっている。
 ただ、REITが買い時かと言うと、疑問だ。確かに政府の支援、破たんしたREITを買収しやすいよう税改正もあって、ここのところREITの相場も上がっている。しかし、不動産は長期的には下落する。リクルートの創業者である江副浩正さんが、「不動産は値下がりする」という本を書いた。この本で江副さんは「土地は限りある資産で、不動産を持っていた方がインフレに強いという考えがまだ残っている」が、そのような土地信仰は誤りだという。土地は埋立により物理的に増えている。過去50年間に、海を埋立てることで、江東区は1.8倍、品川区、大田区は1.4倍、浦安市は4倍に面積が増えている。
 また、規制緩和による容積率拡大で、膨大な床面積が供給されている。東京都中央区は、95年には6万4千人まで減った人口が、銀座、日本橋〜築地、月島・勝どき・晴海で、容積率を1100%まで拡大し、06年には人口が念願の10万人を超えた。さらに土地農地も今後宅地が予想され、また工場用地も宅地、商業地に転用されていく。都心部においても圧倒的な供給圧力が存在するのである。
 他方、需要は減りつつある。少子化の進行が住宅需要を低下させているが、商業用地需要も減る一方である。それは事業のアウトソーシング化が原因だ。第三次産業では、社内で人員を抱えず、仕事をアウトソーシング化し、人材をオフバランス化している。かつてはコールセンターぐらいであったが、今後は社内のあらゆる事務部門がアウトソーシングの対象になってくるだろう。そうなると、都心にオフィスを持つ必要はない。土地代の安い郊外に事務センターを作ることになるだろうから、都心部のオフィス需要は減少を続けると思う。景気が回復しても、この人材のオフバランス化は変わらないように思う。