中国株はどうなるのか

中国当局が融資の目的外使用を監視するよう指示

 中国銀行業監督管理委員会(銀監会)が7月30日、企業の運転資金向けの銀行融資に対する監視を強化する方針を示した(WEB上草案として出された程度だが)。09年は上半期で円ベースで100兆円も融資残高が増加しており、こうした金余り状態が、株価や不動産価格の上昇を生んでいるのではないかとの声があり、市場はいつ金融引き締めがあるか戦々恐々としている。銀監会のこうした方針決定が金融引き締めの前兆ではないかとの観測も出た。
 8月3日のブログでも、上記方針決定を伝え、今の中国の株価はバブルではないかとも書いた。
http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090803/1249301250
 銀行融資残高100兆円増と不動産・株式バブルについては↓
http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090702/1246546341

7月銀行融資残高増は前月比の4分の1以下

 8月5日、中国人民銀行がレポートを発表したが、その中で金融政策運営の「微調整」に言及した。中国人民銀行は11日、金融機関による7月の人民元融資の増加額が3559億元(約5兆円)になったと発表。6月の1兆5304億元に比べ4分の1以下にとどまった。
 こういった動きに、資産バブルを警戒する人民銀が銀行に融資の伸びを抑えるよう行政指導を始めたとの観測も出てきた。
 人民銀行は金融緩和政策に変更がないことを強調しているし、7〜9日に温家宝首相が江蘇省を視察した際「積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策の堅持はゆるがない」と述べたが、市場は不安にかられたようだ。

株価の下落

 8月初めには3400以上あった上海総合株価指数が14日には3046.97に、19日には2785.58にまで下落、21日には2911.58まで戻したが、上海市場では21日も続落しており、週明けが心配される。

最近の報道

 8月21日銀監会が銀行の自己資本規制を強化することを検討しているとの報道があり、香港株式市場で本土系の銀行株が売られたのはこれが理由らしい。
 銀監会は市中銀行が他行に発行した劣後債自己資本の一部とみなすのを禁止することを検討している、という関係筋かの情報をロイターが報じている。

今後どうなっていくのか

 楽観主義者は中国株の下落を利益の確定売りというだろうし、中国の個人投資家には、下がった時が買い時だという信念の人も多いようなので、今しばらく大きく崩れることはないかもしれないが、中期的にはどうだろうか。
 中国国家外貨管理局の20日付発表の今年1〜6月の国際収支統計(速報値。修正値は9〜10月発表)は、経常黒字が32%減の1300億ドル。貿易収支は1183億ドルの黒字だったが、サービス収支は186億ドルの赤字、金融資本収支の黒字は54%減の331億ドルだったという。
 外貨管理局が速報値を公表したのは今回が初めてだという。

追記(09.9.13)

 中国大手銀行6行の09年1-6月期決算がほぼ出そろった。どこも貸出残高は増えたが、純利益は中国工商銀行が2.9%増、交通銀行が0.3%となったが、あとは中国建設銀行が4.9%減、中国銀行が2.5%減、招商銀行が37.6%減、中信銀行が16.3%減少した。これは金利低下で利ザヤが大幅に圧縮されたためだ。一番収益が上がった中国工商銀行でさえ金利収入が7.3%減となっている。これはこれら大手銀行の貸出残高が政府が関与するインフラ部門が中心に増えているため、リスクは小さい。しかし貸出競争のため、利ザヤが3%から2%に落ちてしまっている。これら大手銀行は貸出先も限定するようになり、融資拡大のペースも落とすと言っている。(日経09.8.22、同09.9.8)