上場企業黒字転換が意味するもの

上場企業4-6月期決算発表から

 日経が7月31日までに発表した616社の09年4-6月期決算をとりまとめ、全産業の連結経常損益が9783億円の黒字で、1-3月期の1兆4952億円の赤字から急回復した。全体で2兆4700億円の改善だが、うち2兆円は製造業の収益改善によるものだという。
 1-3月期の赤字が2544億円だった日立も808億円に、3166億円だったソニーも329億円に、2628億円だった日産が261億円にと、419億円だった村田製作所が50億円にと、それぞれ赤字額が大幅に減っている。

黒字の理由

 黒字の理由は、中国の景気回復策による鉱工業生産の回復、在庫調整の進展等のプラス要素もあるが、工場統合・一部閉鎖(4-6月期の設備投資は5.1%減)、人員整理、部材料の購入費用の削減等もある。後者は、従業員、納入・下請業者の犠牲のもとに成り立っている。今後失業者も増えてこようし、中小企業の収益は悪化するだろう。

共同購入の進展

 日本百貨店協会(87社加盟)は、事務用品等を共同購入し、コスト削減を目指すという。具体的には、複数の文具メーカーや消耗品を扱う商社を募り、インターネット上で入札を実施するという。まずは三越伊勢丹高島屋などの計9社で、試験的に実施。7月末にはコピー用紙とレジ用ロール紙2品目で導入し、年内には全社が参加できるようにするという。
 NECは部品、原材料の調達先の絞り込みで10年3月期に連結ベースの資材費を前期比1割減(2000億円減)することを目指している。NECの各事業本部やグループ企業がそれぞれに購入していた単価が高い部品をキーコンポーネントと位置づけ、本体で集中購買するという。集中購買を進めるため合計20人で構成する二つの専門部署を設置。協力会社から購入していた鋼板等を原材料メーカと直接価格交渉する方式に改めるそうだ。
 日立製作所は、製品の設計や試作に使う電子部品を集中購買する。電子部品のインターネット販売を手掛けるチップワンシステムと組み、700万種類の電子部品や半導体を同社から購入する仕組みを導入した。調達先を絞り込むとともに1社からの購入量を増やすことで、コストを低減、決済や精算にかかる手間も軽減する(日経2009/7/20朝刊)
 産業の上流、下流でたとえれば、上流に位置する企業は収益を維持するのがますます困難になってくる。