中国企業 海外資源買収に邁進

 以前のブログでも書いたが、中国では金融緩和が大変な勢いで進んでいる。中国人民銀行の発表によると、今年1-6月で銀行融資残高は累計7兆3667億元(101兆円)の増加となった。
 こうして湯水のように融資された額の一部が、株や不動産投資に回ってバブルを起こしている訳だが、海外資源の買収にも向かっている。日経新聞のまとめによると、次のごときだ。日本もこの流れにのっかるべきかどうかだが、美味しい物件がどれほど残っているか、中国と競わされて高掴みすることにならないか、長期的投資のため低炭素革命・代替的資源の開発の可能性、資源国の政治的リスクないし国有化リスクも視野に含めて考える必要がある。

  • 中国石油天然気集団(ペトロチャイナの親会社)が、スペインのエネルギー大手レプソルYPFのアルゼンチン部門の経営権を170億米ドルで取得する計画が復活(サウスチャイナ・モーニング・ポスト7月2日付)
  • アダックス石油(本社ジュネーブ)は09年6月24日、中国石油大手の中国石油化工集団(シノペック)による買収提案を受け入れると発表した。買収総額は約7000億円に上り、中国企業にとって過去最大の海外でのM&A案件となる(JETRO通商弘報)。
  • 中国海洋石油(CNOOC)が05年4月に鉱区OML(Oil Mining Lease)130の45%権益を買収(JETRO通商弘報)。
  • 国営イラン石油会社(NIOC)は07年12月9日、中国石油化工(シノペック)と3年越しの交渉の末、ヤダヴァラン油田の開発契約を締結した。投資規模は20億ドルで、7年後に日量18万バレルの生産を目指す。生産規模は内陸油田では7番目となる(JETRO通商弘報)。
  • ルーラ大統領の中国訪問(04年5月)の際、ブラジル鉄鉱最大手リオドセ中国企業といくつか協定を結んだ。リオドセは、BHP ビリトンなどの鉄鉱石メジャーと異なり、主要な石炭産地を所有していない。石炭が重要な製鉄原料であることから、同社はモザンビーク、モンゴルなどで石炭資源の確保を急いでおり、その面の協力を期待しているという。同社は中国アルミ業集団(Chalco)とのブラジルにおけるアルミ精製所建設プロジェクトでも協定を結んだ(JETRO通商弘報)。
  • 05年4月、中国海洋石油(CNOOC)は、新興の開発事業者MEGエナジーの17%の株を、約1億5,000万カナダドル(約153億円)で取得した(JETRO通商弘報)。
  • 中国石油天然気集団公司(ペトロチャイナ)はカナダのパイプライン会社エンブリッジの「ゲートウェイ・プロジェクト」計画に参加することで同年5月に合意した。同計画の概要は、アルバータ州から、ロッキー山脈を越え、西海岸のキティマット港まで新しいパイプラインを引き(全長約1100キロ)、日量40万バレルを運ぶというもので、2012年頃に操業する見込みだ。ペトロチャイナはその半分の量を獲得するといわれている。http://fxthegate.com/2008/06/28_4.html

追記:中国の呉思料中東問題特使は、09年8月11日、北京で記者会見し、CNPCがイランのアザガデン油田の権益70%を取得する方向で最終調整していると発表した。(日経09.8.12朝刊)

追記:ペトロチャイナが、日本が10%の権益を有するイラン南西部の大型油田「アガデン油田」の権益70%をイラン側から取得する方向で最終調整していることが7月31日明らかになったと、09年8月1日付日経が伝えている。元々は同油田の権益の75%を国際石油開発帝石保有していたが、イランにと対立する米国に遠慮し、開発を遅らせていたためイランから06年権益を10%に引き下げられてしまったという経緯がある。

追記:英王立国際問題研究所は09年8月10日、アジア主要国の対アフリカ資源戦略についての報告をまとめた。この報告によると、中国はアンゴラに少なくとも134億ドル、最大197億ドルの融資を実行したという。ただナイジェリアでは中国が結んだラゴスーカノ間の鉄道建設契約は白紙撤回されたという。同報告は、中国の脅威は誇張され過ぎ、アンゴラ、ナイジェリアで石油開発と生産を主導しているのは依然として欧米の国際石油資本と指摘している。(09.8.12日経朝刊)

追記:中国の国有石炭会社、えん州煤炭は09年8月13日、オーストラリアの同業フェリックス・リソーシズをおよそ35億豪ドル(約2817億円)で買収することで合意した。この前日には、中国最大の化学製品商社、中国中化集団公司(シノケム)が、シリアとコロンビアでの油田権益獲得を目指して、中南米で石油開発を手掛ける英エメラルド・エナジーに5億3200万ポンド(約840億円)での買収を提案。中国最大の石油会社、中国石油天然ガス集団(CNPC)は、スペインの石油会社レプソルYPFのアルゼンチン部門YPFの買収を計画している。
 ブルームバーグがまとめたデータによれば、CNPCによる買収が成立した場合、2009年に入ってからの中国企業による海外での資源資産買収の総額は、前年を48%上回る430億ドル(約4兆970億円)に達する。
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200908150019a.nwc