低所得者融資条件緩和

新聞報道から

 雇用保険制度と生活保護制度の間をつなぐ「新たな安全網」が10月から本格的に動き出す。厚生労働省低所得者らを対象とする「生活福祉資金貸付制度」の融資条件を緩和し、連帯保証人がいなくても借りられるように改めるためだ。原則年3%の貸付金利は連帯保証人がいれば無利子、保証人がいなくても年1.5%に下がる。住まいを失った離職者らの生活立て直しを支援する枠組みの整備が一段と進む。
 融資条件の見直しは政府が2009年度補正予算に盛った施策の一環。このほか、雇用保険の失業給付を受けられない長期失業者らに職業訓練を条件に生活費を支給する事業が7月に始まった。職と住居を失った失業者に住宅手当を支給する緊急措置も10月に始まる。
 政府はこれらの施策を連動させ、職を失った人が生活保護に頼る前に自立するための手助けをする「新たな安全網」の構築をめざしている。(日経ネット/09年7月20日/07:00)

この措置の背景

 改正貸金業法は、「政府は、関係省庁相互の連携強化により、多重債務問題解決のための施策を総合的かつ効果的に推進する」ことと定めている。その一環として、生活福祉金貸付制度の充実が図られることになったのだ。貸金業法によれば総量規制が進むため、低所得者層が消費者金融から借りられなくなる。こうした人たちが、闇金から借りないようにするためだ。
 また今回融資内容を4分化したが、そのひとつの「総合支援資金」では生活費や住宅を借りる際の敷金、礼金(40万円)までを貸すことが明記されるようだが、これも無保証で借りることができることになった。この点は実に大きい。収入が下がって一番困るのが住居費だからだ。中には離婚して自分単身になってしまったのに、家が広すぎて家賃がかかって困っている人もいる(家賃を低くしてその分養育費を払いたい)。
 転居が生活上必要と思っても、その費用が工面できず、高い家賃をそのまま払うことになり、生活費が不足して借金するというパターンが非常に多いのである。

より実効あるものにするために

 こうした福祉貸付を受けさせる場合には、生活状況を聞き取り、家計改善の必要があれば、それを行わせるといったカウンセリング機能が伴っていないと、仏作って魂入れずになってしまう。
 また多重債務に陥っていないか、陥っているとしたら、その整理を考えなければならないだろう。