どうなる? アイフル

アイフルが減額和解を言ってきた

 大手4社の一画のアイフルが減額和解を言ってきた。アイフルの経営状態は果たしてどうなのだろう。

リーマンのリポートとアイフルの反論

 今は亡きリーマンが昨年の6月23日に発表したリポートで、アイフルの借入金返済が危ぶまれることや、メーンバンクの住友信託銀行は金融支援する考えがないことなどが書かれていた。アイフルはこれに激しく抗議し、法的措置も辞さないことを同27日に発表。リーマンはこれを受けてリポートの内容を訂正したが、その後もアイフルの株価は大きく下がった。
 アイフルの株価は今年になってもしばらくは軟調が続き、3月13日に、79円という最安値をつけ、危機的状況にあった。しかし、その後株価はじわじわ上昇し、現在300円を超えるようになった。これは3月期決算で、アイフルが黒字になり、アイフルは一株当たり5円の配当も行うと発表。その点が好感されての株価上昇と言われている。
 アイフルは昨年リーマンショック以来、倒産危機が言われてきたが、アイフルの社長はある会見で「うちは新規貸付を行っているから赤字なのであって、新規融資をストップすれば、自己資本は充実しているから債務超過の心配はない」と反論した。金はあるが回っていないだけというのが反論の趣旨だろうが、黒字倒産にならないように願いたい。

アイフル3月期プレス発表

 アイフルの3月期末決算のプレス発表は次の通り。
また、営業費用については、前回予想に比べ金融費用・広告宣伝費・人件費・支払手数料等で53億円、利息返還に起因しない貸倒関連費用で339億円の減少が見込まれる一方、足元の利息返還請求の高止まりを受け、利息返還関連での引当金460億円(キャッシュアウト分91億円、元本毀損分369億円)の繰入を見込んでおります。これにより、利息返還関連費用として91億円、貸倒関連費用として29億円が増加、この結果、営業費用全体では67億円増加する見込みです。これらの結果、営業利益は53億円、経常利益は51億円、それぞれ前回予想を下回る見込みです。
 なお、当期末の利息返還に係る引当金残高は1,634億円(キャッシュアウト分843億円、元本毀損分791億円)となる予定です。当期純利益については、社債の買入消却益など特別利益が60億円増加する一方、特別損失が4億円、法人税等調整額が26億円増加することから、前回予想に比べ22億円の減少となる見込みです

 ところで、上記のうち、社債の買入消却益とは、こういうことである。ここに3年後100万円+利息が償還される社債があったとする。しかし市場が、アイフルの倒産リスクを20%と考えれば、流通価格は80万円くらいになる。アイフルが市場からこの社債を80万円で買い上げれば、その分100万円の返済の必要がなくなるので、20万円もうけたことになるというわけだ。
 すなわち、社債を出している会社は、業績が悪くなればなるほどこうした特別利益を上げることができることになる。この特別利益があるということは、それだけアイフルにリスクがあると見られているということである。しかし、逆に、今のご時世、手元にキャッシュはできるだけ置いておきたいところを、こうした将来の出費を抑制するための費用を出せるということは、資金的にも余裕が出てきたのではという逆の評価も可能だ。

アイフルのこれまで

 アイフルは、この10年間、まず中小の消費者金融を買収。ハッピークレジット、信和、山陽信販(以上3社は合併してトライトになった)、日本ベネフィット、スカイ、TCM、ワイド、パスキーを子会社化し、規模を拡大した。また住友信託銀行と合弁でビジネクストを設立、シティズを買収し事業ローンに進出、ライフを買収し信販業態も行うようになった。またアイフルは、同じころ融資の多様化を図るため、不動産担保融資も始め、一時は営業貸付残高の1割以上を占めるようになった。しかし、このうち消費者金融系子会社はすべて貸金業を廃業し、過払金を請求すると、最近は2割だ、3割だと言ってくるようになった(裁判するしかないですね)。ビジネクスト、シティズは現在も営業はしているが、このご時世で事業ローンが生き残れるようには思えない。不動産貸付もアイフルの場合、持分権に抵当をつけたり、第2順位、第3順位だったりすることも多いため、結構苦戦しているのではないか。唯一身になったのがライフだろうが、ライフの事業は立替金を長期分割で回収する内容の事業のため、手元資金が薄くなる。のどから手が出るほど運転資金が欲しいアイフルにとって、頭の痛い問題だ。

アイフルに対する市場の評価

 ただ、アイフルの株価は最近復調気味だ。ゴールドマン・サックス証券は6月29日付リポートで、アイフルの投資判断を「中立」から「買い推奨」に、目標株価を270円から580円に、それぞれ引き上げた。同リポートは「利息返還負担額控除後も事業価値は残ると算定しており、中でも株価に破たんリスクが織り込まれているアイフルの上昇余地が大きいとした。アイフルの推定利息返還負担額に対するカバー率はさほど低くなく、今後必要となる負担額を考慮しても、時価総額は事業価値に対して非常に小さい」との見方を示した。要は過払金をカバーできるの資産もあり、消費者金融事業はなおも将来性があるという見方だ。
 ところでCDSクレジット・デフォルト・スワップというものがある。これはAIGの破たんの原因となった金融商品だが、保険をかけておけば債務が不履行となった場合、保険会社が代わりに払ってくれますよというものだ。いわば債務保証の保証料なのだが、会社の倒産の可能性が高ければ保証料は高くなる。アイフルCDSは、アイフルの株価が最安値をつけた3月には5000(ベーシスポイント)を優に超え、倒産を危惧されていた。しかし、その後、CDS値は徐々に低下。本日現在の1年物のベースポイントは2874。かなり下がってきた。ちなみに、他の金融業をみると、武富士1696、セゾンが520、プロミスが460、アコムが160となっている。
http://www.j-cds.com/jp/index.html

(追加)アイフルCDSが上がり始めた。7月24日は4,188.00だ。ところで武富士は3,970.00、プロミスは738.75、アコムは297.50。やはり銀行系が強い。ちなみにトヨタ自動車は64.83、日産自動車は206.67だ。