クラウド 産学官協同で技術開発

クラウドとは

 ここでいうクラウドとは、クラウド・コンピューティングの意味。インターネット経由でさまざまなソフトやサービスなどを利用するビジネス。利用者は、ネットワーク上のソフト、サーバ、ストレージ(データの倉庫)を利用できるため、イニシャルコスト、運用コストを抑えることができる仕組みだ。

クラウド・ソーシングとの違い

 なお、クラウド・コンピューティングの「クラウド」は“cloud=雲”のこと。似た言葉でクラウドソーシングというIT用語があるが、ここでいうクラウドは“crowd=群衆”のこと、クラウド・ソーシングは、企業がネットを通じて不特定多数の人に、「この指止まれ」で、開発を依頼することで、意味がまったく異なる。

クラウドのビッグプレイヤー

 クラウドは、サーバ、ストレージ等の提供・管理、アプリケーションの開発・提供、ネットでの提供、という三つの機能が合わさって完結する事業形態である。このビッグプレイヤーがGoogleAmazonだ。
 Microsoft がシカゴ近郊に作った新しいデータセンターは、46,000平米の敷地に 40万台のサーバが入れられ、5億ドルのコストがかかっている。Googleは、自社のデータセンタを外部企業に開放し、サーバ1台分の能力を1時間10セントで提供したり、電子データを預かったりする。Googleは既に世界規模に 3ダースものデータセンターを持ち、200万台以上のサーバを動かしていると言われている(Amazonも非公表だが、サーバを大量に購入しており、猛烈な勢いでクラウドに投資しているという。企業がIT経費削減に動いており、これも追い風になっている。クラウドビジネスが発達すると、個々のPCの能力を、外部のサーバが補うため、高い性能は必要なくなってくる。ネットブックの台頭の理由の一つもこのクラウド普及にある。

市場の有望性

 大きな企業も自前でデータセンターを持っていて。こうした企業のデータセンターは米国内に7000に上ると見られている。しかしその中で平均してわずか6% のサーバだけが使われており、30% は既に使われなくなっているという調査報告もある。
 そのため、データセンターをアウトソーシングしてしまえという考えが出てくることになるし、それとともに様々なアプリケーションを必要な時に必要なだけ使えるようにするサービスの必要も出てくる。中小企業としては自前のデータセンターを持てず、外部のデータセンターにアウトソーシングするかもしれない。問題は大企業がどの程度利用するかである。重要なデータを外部のデータセンターに預けるかという不安もある。

産官学でできるのか

 このクラウド事業に必要な技術開発を、総務省が主導して、産官学協同で勧めて行こうとしているという(6月22日付日経)。今さら、日本が遅れて出て行って何ができるのか、こういう創造的部類の事業がお役所の一声で進むのか、との疑問が尽きない。これは何が狙いか。要は、産官学のもたれあいで、国民の税金をむしり取ろうとする判断だろう。

  • 役所は考える「新たに政策提言することで予算が獲得できるし、ひょっとしたら「クラウド技術開発事業団」な〜んて天下り法人ができるかも」
  • 企業、大学は考える「これで補助金が出るかも。」

結局、誰も成功することなんて考えていない。要は国民の税金をどうやって吸い上げようかという、仕組み作りにすぎないのではないか。
参照:http://d.hatena.ne.jp/muranaga/20090317/p1