中国人観光客を、個人旅行者にも査証解禁

査証個人旅行者にも発給

 日本人が海外に旅行する場合、ビザなしで外国に入国できる場合がほとんどだが、海外から日本に入国する場合、特に新興国からの入国については、ビザの発給が必要な場合が多い。中国からの入国者はオーバーステイだったり、偽装結婚による入国が多いため、ビザの発給はかなり厳格に運用されてきた。
 日本を訪れる中国人観光客へのビザ(査証)の発給は、現在団体客だけが対象となっている。4人以上で参加し、日本人、中国人の添乗員の付き添いが必要だった。しかし、7月1日から個人にも解禁される。最近、香港、台湾、韓国からの観光客は査証免除(訪日短期滞在査証90日間)になり、制度改善の方向に向かっており、その一環といえるだろう。もっとも、条件は厳しく、北京市広州市等の大都市の住民で、年収制限もある。ただ中国は人口が多いこともあって、富裕層も多く、中間所得層も増え、対象人口はかなり多いだろう。

インバウンド、アウトバウンド

 ところで、インバウンド、アウトバウンドということばをご存じだろうか。インバウンドは海外から日本への旅行者、アウトバウンドは日本から海外への旅行者。2008年は、インバウンドが835万人、アウトバウンドが1598万人。大幅な出超だ。03年当時首相だったが小泉さんが「2010年に訪日外国人旅行者を倍増の1000万人を目標とする。」と述べたのを受けて、キャンペーンが行われ、そのキャッチフレーズとして「YOKOSO!JAPAN」が採用された。03年当時年間インバウンドは521万円。この5年間に1.6倍に増えたことになる。しかしこれは政府の努力というよりは、ここ数年の世界的なバブルと、円安が大きな役割を果たしてきたと言ってよい。

増加する中国からの観光客

 現在、中国から日本にやってくる観光客は100万人ほど。今後も増え続けて10年後には年間1000万人ほどの中国観光客が日本を訪れるという試算もあるようだ。現在海外旅行する中国人は年間3000万人を超える。15年には5000万人を突破するのではという観方もある。この5分の1でも日本に来てくれれば経済的効果は計り知れない。

金払いのいい中国人観光客

 中国からの観光客は、金払いがいいのが特徴だ。銀座の高級ブランドショップにいくと、中国人観光客が、ブランドの時計を10本ほどまとめ買いしたりしているのを見かけることがある。旅行関係者に聞くと、彼らは中国で上司等に渡すために買っているそうだ。賄賂は中国の政治的文化の一つであるが、それの恩恵が銀座に及んでいる。

銀聯カード

 最近都内でも、銀聯カードを扱う店舗が増えている。「銀聯」は、中国人民銀行が主導して作った中国の銀行のネットワーク。銀行キャッシュカード、電子マネー機能、クレジット機能がついているが、日本ではデビットカード機能しか使用できない。しかし、中国政府は、自国民に対して、一人当たり5千ドル以上の人民元の持ち出しを禁止しているため、中国人旅行者はみな銀聯カードを持って日本にやってくることになる。
 銀聯カードが利用できるATMも急速に広がっている。06年3月に東京三菱UFJ銀行の一部ATMが利用可能になったのを皮切りに、ゆうちょ銀行、イオンクレジットサービス三井住友銀行の一部のATMの利用が可能になった。07年7月にはセブン銀行でも使えるようになった。
 セブン銀行が、海外で発行するカードにATMサービスを開放するのは銀聯カードが初めてになる。セブン銀行のATMが画期的なのは、すべてのATMが中国語インタフェースを据え付けている点にある。銀聯カードを持つ人はセブン銀行のATM末端で銀聯カードで残高確認ができ、お金を受け取ることもできる。