豚インフルエンザ

死亡例は少ないが

 今回の豚インフルエンザはH1N1型。鳥インフルエンザのH5N1型と違い、弱毒性だ。ただ弱毒性スペイン風邪でも4000万人が死んでいる。スペイン風邪は、1次流行の段階では死亡者が少なく、2次流行の段階で死亡者が激増した。ヒトの間を流行する間に、変異が進み、毒性を増したことが考えられる。
 このため今回の豚インフルは、まだ致死率が少ないからといって、安心はできない。簡単に流行が終わるかもしれないし、その逆もありうる。
 通常のインフルエンザ程度の毒性であっても、乳幼児、高齢者等には生命の危険をもたらす。油断すべきではないだろう。

水際では防げない

 潜伏期間中の感染者が既に入国している可能性は大きい。今成田でやってる検査も潜伏期間中の感染者を発見できない。水際で防ぐことは非常に難しい。
 すでに日本に入って来ているという前提で行動したほうがいいだろう。

どうやってインフルエンザから身を守るか。

 注意点は

  • 人との接触を極力避ける。接触人数が多くなればなるほど感染危険性は増す。家に直帰、外食を避ける。子も早めに学校を休ませる。
  • マスクの着用。感染防止のためにはガーゼマスクではアウトだが、花粉用のマスクで十分。N95マスクという鳥のくちばし型のマスクまでは必要ない。結核菌防止にはN95マスクが必須だが、インフルエンザは結核菌ほど飛沫性がないためだ。マスクは鼻、顎まで覆うようにする。マスクを外すときは紐を持ち、本体部分には手を触れない。そうでないと手にウィルスがついてしまう。マスクは部屋に入る前に廃棄する必要がある。マスクは本来は風邪をうつさないためのもので、他からの感染を防ぐためのものではないので過信は禁物である。
  • 手洗いの徹底。手洗いは、石鹸を用いて最低15秒以上行うことが望ましく、洗った後は、清潔な布やペーパータオル等で水を十分に拭き取ること。手は手首まで洗う。
  • 感染者に2m以上の距離を置くこと。家庭内で感染者が出た場合。部屋の外に食事を置く等の工夫が必要だろう。
インフルエンザになったら外に出るな

 「俺は健康だから大丈夫」と言って外に出るのは、自分がどうなってもそれは自己責任だが、他人には大迷惑になる。 
 発熱や咳の症状が出て、感染した可能性がある人は、病院に行くべきではない。万が一新型インフルエンザだったとしたら、病院に来ている人たちにインフルエンザをうつすことになるからだ。
 下記のリンク先を参照し、各保健所等に設置された発熱相談センターにまず相談してほしい。
 http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090430-02.html

フジテレビのサキヨミLIVEを見て

 フジテレビのサキヨミLIVEを見て、ショックだったことがある。今回の豚インフルエンザ震源地と呼ぶべき村ですでに3月時点で、インフルエンザが発生し、住民が近所の養豚場が怪しいと指摘していたというのである。しかし当局がどういう理由だか、情報統制をしてしまった。養豚場のオーナーの意向を重視したのだろうか。とすれば、もう既に広範囲に感染が広まっていることになる。
 さらに怖いのは、日本からメキシコの病院に直接電話し、取材していた中で、肺が真っ白になったという症例が報告されていたこと、またある患者が診察した病院で看護師2名が死んでいることだ。今回の豚インフルエンザ鳥インフルエンザとの違いは、前者が鼻とのどだけに炎症を起こすのに比べて、後者は、肺に炎症が生じて、呼吸機能が損なわれてしまう(だから死亡率が高い)。レントゲンで肺が真っ白に写っているというのは、H5N1に近いのである。また看護師が死亡したということは、壮年の女性が、しかも治療機会に恵まれていた立場の人間が死亡しているということだ。
 この報道は、素人による聞き取り調査のため、100%信用することはできないかもしれない。ただ言えるのは、メキシコでの感染状況について調査が進むにつれ、新たな真実が明らかになる可能性があることだ。しかもそれが悪いニュースであるかもしれない。