SFコーポレーション(旧三和ファイナンス)破算申立の危機的状況

三和対策弁護団、破産申立を始める

 2月4日、消費者問題に取り組む弁護士が参加するクレサラメーリングリスト(以下単に「ML」という)に、「弁護士の秋山努(三和ファイナンス対策弁護団事務局長)です。」との文相で始まるメールが流れた。
 昨秋、SFに対する債権者破産を申立て、かざかファイナンス(現ネオラインキャピタル。)が支援約束することにより、申立債権額のほぼ全額が回収できました。
 しかしその後、かざかの返済原資が底をつくと、支払いが途絶えるようになり、当弁護団により一斉請求をする必要に迫られました。今年に入り、確定債権はある程度支払われたものの、依然として元本程度しか支払われず、利息・損害金は放置されているケースが多数であるばかりか、未確定債権への対応は全く変わらず、弁護団がさらに釈明を求めるも、全く誠意ある回答が得られません。
 そこで、当弁護団は再び、三和に対する債権者破産申立を準備することにしました。さらに、これまでの不当な対応からは、被害者は拡大損害の請求が可能です。申立に際しては、この拡大損害(当面、一律で慰謝料20万円、弁護士ないし司法書士費用10万円を検討しています)も主張する予定です。
 

この弁護団は参加者を制約

 この弁護団の参加者募集メールには末尾に次のような一文があった。ひねくれ者の私は、暗に「債務系事務所の弁護士は入ってくるなよ」という一文に読み取れた。
 最後に、当弁護団は法律相談センター、法テラスなどで相談担当を務め、良心的な事件処理を行っている弁護士・司法書士などを中心としています。弁護団の一方的な判断により、参加をお断りする場合もありますので、その点は重々ご承知おきください。

三和対策弁護団のピンチ

 三和対策弁護団は、少数精鋭主義を貫いたため、SFを追い詰めることが難しくなっているらしい。前記メーリングリストに、4月13日、次のメールが送られてきたのだ。
 現在、東京地裁に対し、㈱SFコーポレーション(旧商号:三和ファイナンス㈱)に対する債権者破産申立をしています(平成21年(フ)4901号)。その中で、SF(三和)は「現在は過払金債権が確定すれば、1〜2週間程度により支払う体制を整えている」旨主張しています。実を申しますと、申立債権者のうち確定債権(判決が確定したか、訴訟上の和解が成立)を有する者については、かなりの割合で支払われていっている模様です(但し全てでは無く、また全額が支払われていないものもあります。)。しかし、SF(三和)の支払は、我々債権者破産の申立債権者に対するものだけではないか、との危惧を抱いています。そこで、「判決が確定したのに支払われない!」「和解したのに支払われない!」また、「結局支払われたが、非常に引き伸ばされた!」「不当な減額交渉をされた!」という方は、17日(金)午後0時までに下記FAXもしくはDM(PDFファイル等)にて証拠(たとえば判決書、確定証明書と、SF(三和)からの減額を求める申入書など)を提供してください。
(頂いた資料は、そのまま標記破産事件の疎明資料として用いさせていただきますので、各々依頼者の承諾を得ていただき、氏名住所等の墨塗り等は各自にてお願いします。)

SFの二重基準

 要するにSFは、破産を申し立ててきた三和対策弁護団には利息抜きではあるが過払い金の満額を支払い、非弁護団には、相変わらず減額した支払しかしていないのだ。かく言う私も、地裁では値切られ(途中開示計算の6割)、地裁で勝訴判決をもらっても高裁で値切られ(判決認容額の6割)、確定判決があっても値切られている。
 むしろ高裁でも、地裁でも、裁判官の方が「何で和解に応じないのか」と怒られたり、「SFは、ほかでも見てますが、この数字は精一杯の案ですよ。」と和解を勧めてくる。それを見る限り、自分ら以外にも6割ベースでも和解が進んでいるとしか思えないのである。しかしSFは、破産申立をしてきた弁護団には満額を払っている。要はSFは弁護士を色分けし、二重基準で対処しているのである。
 そして今回の破産申立では、その二重基準が効果を発しているのである。しかし、SFのこの戦略を破る策はある。次のメールで明らかにしよう。

追記

 結局、三和対策弁護団に金が払われて、破産申立は却下された。対策弁護団は、高裁に抗告したが、12月21日、結局これも却下。SF側が、破産申立後に支払をしたことに加えてSFが投資家を引き込んで貸金回収の利益と過払い金負担のリスクを投資家が負担するという契約をして今後の過払い金支払の手当をしたということが、棄却の理由とされている。まぁ予想してた通りだ。
 SFは高裁で却下決定がなされると、裁判上の和解で5〜7割の金額を和解で支払っていたのが、突如3割しか払わないようになった。SFの支配人いわく「スイッチが切り替わった」とのこと。これまた予想していた通りだ。
 高裁の抗告棄却決定に対して、対策弁護団が12月25日に特別抗告・許可抗告の申立をしたが、見通りは明るくない。
 09年12月21日、石丸弁護士率いるアディーレが三匹目のドジョウを狙って、SFに破産を申し立てた。健闘を祈る。彼らの検討次第で、SFの減額率がダウンするかもしれないからだ。(10.2.9)
 第三者が申立人となってする破産は、裁判所から多額の保証金の積み立てを求められる。金額は会社の規模によって異なるが、最低でも数百万円、下手すると1000万円近いかもしれない。そのため単独の弁護士で申立するのは難しい。(10.9.10)

追記

 SFコーポレーションは、三和弁護団に意趣返しの積りだろう。三和弁護団に依頼した原告本人の住所に、「破産申立について事前に同意しましたか」なんて、アンケートを送っている。もし本人の同意なしで申立をした弁護士がいれば、懲戒を申し立てようという腹だ。そうしたところ、反応が悪かったらしく、再度アンケートを送ったという話だ。今後は回収率アップのためQUOカードをお礼に送るという。(10.2.9)